長浦港に面した小さな色街「旧皆ヶ作カフェー街」

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横須賀にはかつて3つの遊郭があったことを前回紹介した柏木田遊郭のところで触れたので、今回はその第二弾として「皆ヶ作」について書くことにする。
というか同じ日に行ったのと、むしろ時系列的にはこっちが先だったりするので連続で書いたほうが妥当だろうという判断だったりするわけですが。

皆ヶ作遊郭は、京急田浦駅から国道16号線を横須賀方面に少し歩いて海側に入ったあたりにあった。ちなみに「かいがさく」と読みます。みながさくではありません。
すぐそばには長浦港があり、この港にはかつて海軍工廠造兵部があり(現在は東芝の工場になっている)、付近には軍需工場や学校などの軍事施設が多かった。

色街の成立過程においてこれほどわかりやすいものはないという典型例で、戦後、もっとも栄えた頃で約40軒のカフェーがひしめいていたという。

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まずは長浦港に行ってみた。横須賀港の中でももっとも奥まった静かな場所にある。背後の東芝の工場は、老朽化による傷みがひどく痛々しい姿を晒していた。
軍港として栄華を誇ったのも今は昔。兵どもが夢の跡。

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散策開始

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というわけで赤線建築を探しに散策開始。
いきなり目に飛び込んできたのがこのタイル張りの片山ビル。

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その前にもずいぶんと香ばしい建築物が。一階が美容院として使われているが、このアンバランスさがいい。ここに店を出した店長はなかなかハイセンスだと思う。

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そしてこれが皆ヶ作の代表的な遺構。銅板の看板建築。見た感じ一度手を入れてそうだけど、銅板ということはできたのは昭和初期だろうか。
銅のサビ具合が往年のロックスターよろしくレジェンド的なオーラを放っている。

※2015年10月現在、取り壊されて新築が建っているようです。本当に残念でなりません。

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どうですか、この圧倒的存在感。もはや文化遺産レベル。

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この矢羽のような形の窓はカフェー建築によく見られる特徴。これが見れただけでも横須賀まで来た甲斐があったもんだと思わせてくれる逸品。

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割れたガラスをガムテープで補強。貼り方がずいぶんワイルドだけど、たぶんクモの巣状に逝ったんだろうね。南無。

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このカフェー建築に向かい合って建っているお宅もずいぶんと雰囲気があってよき。

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今いた場所のすぐ南側が、全盛的にはかなりの賑わいを見せていた仲通り商店街。
東に歩いて行けば東芝の工場にぶつかる。東西に100mほど続いている。

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ここが花街であったことを今に伝える割烹「飯田屋」。
残念ながらずいぶん前に廃業してしまったらしい。

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カフェー街最盛期はここも相当繁盛したことでしょうね。

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裏側から。
これだけ駅に近くこれだけ大きな建物が何にも使われないというのも実にもったいない話である。
何年先になるかわからないけど、取り壊されることになるその日まで・・そっと余生を見守ってあげたいと思います。

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飯田屋のすぐそばで。「原子力(原発)反対」ってことなんだろうけど、なぜ英語なのかよくわからない。
というか誰に訴えかけているのかもよくわからない(笑)

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遊郭に銭湯はつきもの、ということでここもご多分にもれず昔ながらの銭湯が残っている。昭和38年開業の竹の湯。1963年、東京オリンピックの前年ですね。思ったより古くなかった。
皆ヶ作の最盛期が昭和30年頃というので、ちょっとあとにできたことになる。

実はこの日、このあと柏木田散策を控えていたこともあり回ったのはこれだけだったりする。
見つける見つけない以前に、このときは存在すら知らなかった皆ヶ作の遺構ツートップの存在をのちに知って本気で愕然とした。
現在ではめったにお目にかかれないような立派なカフェー建築がすぐ近くにあったのだ。

というわけで、またいつか再訪したい。
今度は『赤線跡を歩く』にも載っているライオンもちゃんと撮ってきたいと思う。まだあれば。ついでに竹の湯にも浸かって来るかな。

※およそ7年後にようやく再訪できました

いざ、仕事始め。横須賀のカフェー街「皆ヶ作」を歩いて新年を迎えた話
前回のタイトルがあぁだったらまぁ今回はこうなるよな・・という大方の予想通り、ようやく拙ブログのタイムラインも2021年に突入。   久しぶりに神奈川に来たこともあり、あまりに不完全燃焼だったあの日の呪...

[訪問日:2014年4月12日]

京急田浦駅(神奈川)

コメント

  1. さえき より:

    銅板看板建築の建物は2015年10月18日現在では、とりこわされ、新築の住宅が建っています。本当に残念です。

    • machii.narufumi より:

      そうですか・・ショックで言葉にならないです。貴重な情報感謝します。その旨追記しておきますね。

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