旅はノープランがいい。
あてどなく、風の吹くまま気の向くまま。憧れである。
が、現実はそうもいかない。時間に追われる現代人は忙しい。
そう、すべては計画通り。鳥羽から参宮線に乗り、3駅先の「二見浦」で降りた。
地名は「ふたみがうら」だが駅名は「ふたみのうら」という、旅人泣かせの二見浦は伊勢市二見町にある。
かつては町だったが、平成の大合併により伊勢市に編入された歴史を持つ。
圧倒的な町並み
二見浦をざっくり説明するなら、海の目の前にある風光明媚な旅館街。ただ、残念ながら天然温泉ではないようだ。
だが、駅からまっすぐ北へ。そして突き当たりを東へ折れ旅館街へといたる道程にはこれでもかと言うぐらい古い木造建築が残っている。
菊一文字則宗本店。明治時代から続く刃物のお店。
つまるところ武器屋ですね。わかります。
その前にあるのが、創業270余年の御福餅(おふくもち)本家。
筆者はこのとき初めて知ったが、あの「赤福餅」の類似品らしく見た目がそっくり。
全国区の知名度を誇る赤福は機械生産だけど、御福餅はすべてが手作りだという。
興味のある方は食べ比べてみては。
そしてちゃんとオチがあって、そのすぐ先に赤福の二見支店があった(笑)
脇道にモザイクタイルを設えた床屋さんがあったので思わずパシャリ。
突き当たりのT字路に建つのが「朝日館」。
創業280年、昭和天皇も宿泊されたという由緒ある老舗旅館。
いいなぁ。いつかこういうところで泊まってみたい。
のぼりがなければ気づかないほど奥まったところに稲荷神社が。
小さな森に抱かれた、まるで禁足地のような雰囲気が漂っている。
さてこのあたり、住所が「二見町茶屋」。これは偶然でもなんでもなく、かつてここには茶屋街があったのでそれが住所として残ったのだろうと思う。
そしてここから先がすごいのである。
重量級の妻入り木造建築のオンパレード。圧巻の一言に尽きる。
中には希少な木造3階建てのものも。
何も知らずに来ていたら「ここは遊郭街だったのか?」と思っていたかもしれない。
それぐらい建物が元妓楼っぽい雰囲気を醸し出している。
旅館街の様子。
昼下がりだったこともあったかもしれないが、三連休初日にも関わらずずいぶんと人が少なかった。
実際、二見浦は昔に比べて宿泊客が減少しており、最近ではもっぱら修学旅行生の利用が多いと言う。
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