荻町集落は南北に長く、大体1.5kmぐらい。東西は約350m。
広いと言っても、城山展望台を含めても1日あれば十分回りきれるぐらいのサイズではある。
世界遺産効果は絶大で、今や白川郷は推計で年間180万人近い数の観光客が押し寄せる。荻町の人口が約600人なので実に3000倍という途方もない数字である。
これは、2008年に全線開通した東海北陸道の存在が極めて大きく、頑張れば東京からでも日帰りで来ることができるようになった。
察しがよい方はお気づきだと思う。こうなってくると問題になるのがオーバーツーリズムである。
白川郷の観光公害
秘境のままであれば、時間をかけて現地へ赴き、泊まりでのんびりと集落を散策する、というのがオーソドックスな過ごし方だったであろうと思う。
皮肉にも、交通の便がよくなったことで気軽に行ける世界遺産になってしまい、飛騨高山とセットで回ったり日本海側へ抜ける途中に立ち寄るだけと言った人もいたり、短い滞在時間で慌ただしく過ごす人が非常に多いようだ。
たくさんの人が来れば中にはマナーの悪い人も当然いる。
ゴミやたばこのポイ捨て、民家の戸を開けたり田んぼに入ったりと言った住民への迷惑行為、集落内での無断駐車などなど、色々深刻なのだそうだ。
白川郷では、毎年1~2月にかけて集落のライトアップイベントが行われる。
東京タワーやレインボーブリッジのライトアップを手掛けた世界的照明デザイナーの石井幹子さんがデザインした、それはそれは幻想的で美しい景観を楽しむことができる。
日数が少ないことや週末のみに行われることで、凄まじい観光客が押し寄せて以前からたびたび問題が起きていたこのイベントも、2019年からついに完全予約制になったと聞いた。
筆者は2016年に足を運んだが、昼頃には現地入りして寒い中場所取りをしなければならなかったことや、そもそも一般客向けの撮影スポットが少なすぎること、そしてライトアップが始まる頃には身動きひとつ取れないぐらいの混雑に陥って危険だった。
日によっては吹雪になることもあるし、展望台へ上がる遊歩道は路面が凍結することもある。そんなところに観光客が大挙したらけが人や体調不良者が出ることはもはや不可避だと思う。
この決断は概ね好意的に捉えられたそうであるが、あの経験をした自分としても完全に同意見だった。
今では第一次産業に従事する住人はかなり少なくなったそうだ。
誤解を恐れずに言えば、本来の白川郷は観光名所ではないと思う。
合掌造りが織りなす集落の景観や特異性、そこで暮らす人々の生活そのものに普遍的な価値があり、それが世界遺産登録の理由にもなった。
寺社仏閣や名勝とは違い、そこで暮らす人々の生活の場であること。
その意識を持ち、“日本の原風景”たる山村集落とその文化を育んできた住人へ敬意を持って接することが何より肝要ではないだろうかと。
そんなことを思ったりする。
書きたいこと全部書いちゃったので、あとは写真だけぺたぺた貼っていくことにしますw
最後にこの写真を。
城山展望台から撮影した、ライトアップされた荻町集落がこちら。
※寒々しい感じを出したかったので景気よく色温度下げました
コロナ禍の影響で2021年はどうなるかまだ未定だそうで。完全予約制なのであればまた行こうかな・・
是非、宿を取って泊まりで。
[訪問日:2019年9月14日]
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