清水と言えば多くの人がちびまる子ちゃんを連想する。スポーツ少年ならサッカーであろう。また、グルメ通であれば清水港のまぐろと言うだろう。
そして、ごく一部の業界人はきっとこう言う・・「旭町」と。
新世界
そんなかつての赤線、旭町。「新世界」と書かれた飲み屋横丁的な小路への入り口がそこにはあった。
まさにニューワールドと呼べそうな異界がちらりと見える。手招きされるかのごとく中へと足を踏み入れて行く。
新世界通り・・きっと完成した当時はその名に違わず未曾有の活況を呈していたのであろう。
はっちゃけ過ぎてなんかもう新しい自分とさえ出会えそうな…そんな場所だったに違いない。
今では猫だけが闊歩する平和な昼下がりの横丁である。正月休みを知らせる張り紙が散見された。世間はまだ寝正月なのだ。
できたのは昭和30年代だろうか・・という目測。
国道沿い、駅の真ん前という立地が奏功しているのか今でも普通に現役。
こういうところに馴染みの店があって、自分のことなら何でも話せるご主人やママさんがいて・・なんてシチュエーションにちょっと憧れる。
定住というものに縁がない男のしがないないものねだりである。
ただでさえ夜の街。正月早々の午前中から人がいるわけなく、辺りは不気味なほど静まり返っていた。
近くにカラオケがあって、中学生か高校生かの女の子たちが遊びに来てたのに出会ったぐらいで、あとはほとんど人に会った記憶がない。おかげでずいぶん散策が捗った。
数年前まで「楽天地」と書かれた盛り場の屍があったようであるが、その場所は今現在レンタルボックスとなっていた。街の浄化作用が働いたようだ。
思い入れの強さゆえに、普段とは違う精神状態で歩いた清水旭町。
富士山を見るとどこか帰ってきたようなほっとした気分になる。
清水駅からJRに乗り込み、一路沼津を目指した。
[訪問日:2016年1月3日]
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