能登半島の最果てに近い輪島は、かつて「のと鉄道七尾線」の終着駅だった。(穴水〜輪島間が2001年に廃線)
跡地は道の駅として整備され、各地へ延びる路線バスのターミナルも兼ねている。
廃線後の駅舎がバスターミナルに生まれ変わることは全国に目を向ければ何も珍しい話ではない。輪島もそのひとつということだ。
駅がなくなれど交差点の名前は「輪島駅前」であり、地元民はまだ普通に駅と呼んでいるらしい。
道の駅から朝市方面へ向かう「馬場崎通り」
この駅前通りの町並みがなかなかに素敵だったので、僭越ながらこの場を借りて紹介したい。
歩き出すとほどなくして、商家チックな大柄の妻入り住宅が顔を見せる。
なお、読み方は「ばばさき」ではなく「ばんばざき」らしい。
いや、ホントかな振っといてほしいレベル。
かつて駅前商店街の名を冠されていた馬場崎通り。朝早かったこともあってか、人の往来は皆無に等しかった。
賑わいを失えば寂れていくのが都市の宿命のはずだが、目の前にある町並みは不思議なほど“観光客”の目に優しい。
実はこれ、市の景観計画によって誕生したまちなみで、地域に伝わる昔ながらの建築様式を再現したもの。「浜屋づくり」と呼ぶそうだ。
単に建物にとどまる修景ではなく、道路を拡幅したり電線の地中化を行ったり結構お金をかけた事業だったようだ。
無論、地域活性化のための施策であり、おそらく当時それだけ鉄道の廃線に対して強い危惧を抱いたからではないかと思う。
この三階建てはひときわ存在感がすごかった。
あまりつくられた感じがしない。普通に古い建物なのかも。
観光で輪島に来る人は、バスよりも車のほうが圧倒的に多いはずだ。だって僻地なのだから。
だが、里山風景を車窓にバスに揺られ、かつて鉄道の終着駅だった場所から商店街を通り抜け、徒歩で朝市へ向かう。
旅気分が盛り上がるのはどちらであるか、言わずもがなであろう。
駅がなくなれど、生まれ変わった馬場崎通りは“駅前通り”の名に相応しい居住まいで輪島の中心部に存在している。
マイカーで朝市へ、という人は、道の駅に駐車して歩くことを検討してみてはいかがだろう。
[訪問日:2017年11月5日]
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