姫路港の南西約20km。
家島本島から約2kmほどの近距離にある坊勢島(ぼうぜじま)は、家島諸島では家島本島の次に人口が多い(約2,200人)島である。
坊勢島への船は、家島の南部にある網手港から出る。
真浦港からは徒歩で30分といったところだ。
家島で宿泊した翌朝。送迎のご厚意を丁重に断り、重たい荷物を携えて網手港まで歩いた。
健康のためと言えば聞こえがいいが、旅館の食事はどうも少食の自分には量が多すぎるので歩いたり昼食を抜いたりしないと帳尻が合わないのである。
想像以上のアップダウンで首尾よくカロリーの消費に成功した。
桟橋の向こうにくっきりと見える坊勢島に向かうべく、片道10分の渡船に乗り込んだ。
さらば家島。
渡し賃は320円だった。
簡単に坊勢島の概要を
坊勢島に上陸してすぐに目につくのは、島で「神権さん」と呼ばれる海神社がある弁天島へ架かる朱塗りの橋。
この神様は漁師の守護神で、小島には漁師の父と父を助けるために海に身投げした孝行娘の美しい(悲しい?)伝承が残されている。
坊勢島の最たる特徴は漁業が盛んなことで、実に島民の約7割が漁業関係者。
水揚げ量、水揚げ金額ともに兵庫一というから驚く。
島の名前は、元慶7年(883年)に比叡山の高僧が島流しにあった際、師を慕う弟子数人がこの島に移り住んだことから「坊勢」と名付けられたと言われているそうだ。
坊主がいっぱいいる ⇒ 坊主に勢いがある
ということだろうか。
島の周囲約12km。外周道路をのんびり歩いても1時間半ぐらいで散策できる小さな島でありながら港が複数あり、漁業が盛んなことがよくわかる。
しかしながら、海岸線に平地がほとんどなく、集落は丘の上に向かって形成されている。
これは少し歩けばひと目で分かるだろう。
それは取りも直さず、自ずと家々が密集した集落になることを意味しており、模範的な漁村風景を形成することに寄与している。
もちろん広い道幅を確保することも難しいため、広いところで車一台分、基本的には自転車がすれ違えるぐらいの幅の路地が張り巡らされている。
そう、大体これぐらいだと思っていただければ問題ないだろう。
となると、島民のメインとなる移動手段が何か察しの良い方はおわかりだろうと思う。
原付なのだ。
この、見通しが悪く細い路地を原付が爆走してくるのである。
慣れてないこっちとしては結構ビビる。ヒヤヒヤの散策だった。
島の北にある船着き場から反時計回りにぐるりと回り、適当なところで路地に入り高度を稼いでみた。
すると視界が開け、絶景が目に飛び込んで来た。
疲れも吹き飛ぶパノラマビューである。
これで外周道路を大体半周。
家島も素晴らしかったけど、坊勢島の路地裏風景も負けず劣らず素晴らしい。
楽しい島だ。
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