昭和の遺構「JR国道駅」（前編）

JR鶴見線。
京浜工業地帯で働く労働者の足として機能する、都心にありながら基本無人駅、運河に沿って走る、そして終点は構内から出ることのできないほぼ海抜0m地点にある駅。
鉄道ファンには垂涎モノのマニア路線として有名であるが、その中でも最も強烈な個性を放つ駅が今回紹介する「国道駅」。

昭和レトロ好きにはもはや説明不要なほど有名な駅だが、開業当時のものと思われる建物がガード下にその姿をとどめているまさに平成の奇跡。ちなみに開業は1930年。

機銃掃射の跡が残る

駅の目の前には第一京浜（国道15号線）が通っている。察しのいい方はおそらく気が付いたであろう。
駅名の由来はまさにこれである。

落書きの上部、コンクリートに数ヶ所空いている穴。
実はこれ、戦時中に米軍の機銃掃射によってついた銃痕。この時点でこの駅が普通の駅じゃないことがおわかりいただけるかと思う。

駅の内部へ。ガード下にあるのは置き去りにされた昭和そのもの。

ここにも銃痕。

そのガード下にひっそりと佇む焼き鳥屋、その名も「国道下」。
実はこのお店、いまだに現役なのである。DEEPな昭和を堪能できる焼き鳥屋がこんなところにあったとは。いつか行かなければ。

国道下の前にあるトイレ。これもおそらく優に半世紀は超えているであろう。

奥へ進んでみる。両端にはどう見ても民家のような入口。

人が住んでいるのか住んでいないのかは判然としないが、もはや朽ち果てるのは時間の問題と言えよう。

この街灯。昭和世代の郷愁を否が応にも誘うであろう極上の逸品。たまらない。

反対側から。ガード下はけっこう短い。100mくらいだろうか。
ガードを抜けると生麦魚河岸通りに出る。かの生麦事件のあった因縁の通りである。実は国道駅を後にしたあと、生麦事件の碑を見に行ってきた。
この話はまたいつか機会があれば。