※芳和荘はご主人の逝去により閉業との噂を聞きましたが、「休業」と書いているメディアもありどうにも判然としておりません
今年は明治維新150周年の節目の年にあたる。
その明治維新の震源地、小京都の名で呼ばれる山口県萩市に、昨夏観光で足を運んだ。
そのとき宿泊したのが、遊郭・赤線クラスタに不動の人気を誇る『芳和荘』。
築100年を超える、紛うことなき元遊郭の転業旅館である。
「遊郭に泊まりたい!」という、内奥に色欲めいた煩悩を秘めた者にとって、萩という地はあまりに遠い。
佇まいはもちろんのこと、その遠さによってある意味永遠の憧れと言っても言い過ぎに当たらない芳和荘に、個人的にもようやく念願かなっての訪問だった。
旅館は、JR東萩駅から約1km。徒歩で15分ぐらいかかった。
萩の街は雨模様で、折り畳み傘がまったく役に立たないぐらいの雨脚に途中で傘を買った。
遊郭という場所は雨がよく似合う。少し気が萎えたが悪い気はしなかった。
それではお世話になります
温和なご主人に迎えられチェックイン。
元遊郭に泊まるときは、いつもこの入る瞬間がたまらない。
右手が帳場になっていて、正面に階段。
二階に案内されたので、一段一段踏みしめながら階上へ。
登楼した遊客たちが、かつて何を思いながらこの階段を上ったのか。
同じ景色を見ながら、そんなことを考えてみると感慨深い。
ご存知な方も多いと思うが、芳和荘最大の特徴が、この回廊式の空間。
そして真ん中に中庭があって、どの廊下からも中庭を見下ろせるようになっている。
写真で見たことはあったが、こうして目の前で見るとその圧倒的な存在感に、控え目に言って感動を覚えた。
案内されたのはこちらの「中津江」。
転業旅館の部屋名には各々特徴があって面白いが、芳和荘の場合はおそらく(?)地名のようだ。
そして夜・・
願わくば嘘でもいいから遊女が部屋にやって来るドキドキ感を味わってみたかったが、夜にこの景色を見ることができただけではるばる萩まで来た甲斐があった。
なんちゅー風情だ。
夜にはさらに雨が強くなり、明け方には警報レベルの豪雨となっていた。
なんせ屋根を叩きつける雨音で目が覚めた・・それぐらいひどい雨だった。
夜が明けて・・
明くる日は、嘘みたいな晴天。
カーテンの隙間から陽光が射し込み、夏らしい一日の始まりを予感させていた。
朝食はシンプルな和定食。筆者はそもそもが少食なのと夏は食欲が落ちるのでこれでも十分すぎるぐらい。
美味しゅういただきました。
館内を散策
チェックアウトの時間まで、館内を散策させていただくことに。
目が慣れてもやっぱり現実感が追いつかない。
今は本当に2017年なんだろうか。
欄干に何やら文字が彫ってある。「ちょうしゅうらう」と書いてある。
実はこれ、遊郭時代の屋号「長州楼」を表しているとのこと。
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コメント
いつまでも残って欲しい建物ですね。
裏口のアーチの遺構なのかな、、、独特ですね。
ネットの情報ですが、今のご主人で最後になるかも…という情報を見かけたことがあります。
ちょっと先行きが心配です。