因島の南部に土生(はぶ)という港町がある。
島で最も大きな港で、今治や尾道など四国・本州への船が発着する文字通りハブとなる港である。
かつて因島が造船業で賑わった昭和時代、土生のまちも大いに賑わっていたと言う。
その時代の名残を求めてしばし付近を歩いてみた。
土生商店街
案内図を眺めてみると、5つほど商店街の名があった。全体としてはかなり規模があるようだ。
ひとまず長崎桟橋のあたりから歩き始めることにした。
いきなりレベルが高い…。
遊技場!!?
何という激レアな鑑札・・
ここぞとばかりに路地に迷い込むと、情緒的な路地裏風景が待っていた。
なんて歩くのが楽しいところなんだ。
緩やかな下り坂。商店街のメインストリートと思われるが、ほぼ車一台分の幅しかない。
土生地区の背後は丘陵地になっている。海と山に囲まれた限られた土地にまちを作った名残だろう。
白茶けたアーチの残滓が、かつてここが商店街であったことをかすかに告げていた。
目抜き通りと路地裏の区別が付かないほど、まち全体が沈んでいる印象を受けた。
商店街のみならず、町並み、建物、すべてが昭和のまま時が止まっている。
「因島市」
そう、ここはかつてこの島は市であった。人口も今よりもっと多かったのだ。(現在は尾道市)
もはや商店街として機能していないこの通りにも、人が溢れていた時代があったのだろう。
人に会う前に猫に出会ってしまった。
さすがにこの展開は予想できなかった。
商店街のアーチに取り付けられたスピーカーからは、絶えずアップチューンな曲が流れていた。
自らを鼓舞するためなのか、それとも現実を直視したくないのか。
皮肉なことに、そのギャップが寂れ方をより鮮明にしているような気がして、歩いていて何ともやるせない気持ちになった。
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