どんとこい台風。水切り瓦といしぐろに守られた吉良川の町並み

高知県
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引き続き、吉良川の町並みをぶらぶら。

時間はAM8:30。

抜けるような青空の下、誰もいない絵になる町並みを歩く。
こんな贅沢な朝を迎えられるのもまた、旅の醍醐味と言えよう。

武井家住宅(明治44年)

側面の煉瓦が特徴の武井家住宅。平屋、厨子二階、(本)二階が渾然一体となった不思議な外観をしている。

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いしぐろ

メインストリートから山側へ分け入ると、「いしぐろ」と呼ばれるこのような石垣塀がよく見られる。
無論、洒落にならない暴風雨から家屋を護るための生命線である。

浜石や河原石が使われたこの石垣は、家々によって積み方が微妙に異なっており個性を垣間見ることができる。

その違いを意識しながら歩くのもまた楽しいと思う。

台風ついでに瓦の話もしておきたい。

「へ」の字をした右瓦
逆「へ」の字をした左瓦

の二種類があり、例えばこの写真であれば「左瓦」。

この例で言うと、向かって右から風が吹いてくると瓦の隙間から水が侵入してしまう。
台風のときは東から風が吹くので、瓦の重なりを風下(西)に持ってくるという積み方をする。

ので、屋根が建物の北側にあれば左瓦、南側にあれば右瓦。

これまで見てきた「水切り瓦」「土佐漆喰」「いしぐろ」、そして「右瓦・左瓦」

この徹底した台風対策こそが、吉良川の町並みの真骨頂であり強烈な個性の源泉であろうことは明白である。

思えば、室戸とは初めて地名が台風名に冠されたまちである。(昭和9年の「室戸台風」)

建物は、所詮人間がつくった人工物である。
生半可な対策では、自然の猛威には到底太刀打ちできないと先人たちはわかっていたのだろう。

そんな幾多の台風に耐え、建物を護ってきた水切り瓦と土佐漆喰が紡ぐ町並み。

そのあたりのことに思いを馳せるとき、周辺の自然環境と調和する「環境共生」の意味を改めて考えさせられる。

というわけで、結論から言おう。

吉良川の町並みを歩くのは、建物が遺憾なくその実力を発揮する台風の日がベストである。(命の保証はいたしかねます)

 

熊懐家住宅

そろそろまち歩きも終盤に差し掛かってきた。
この「熊懐家住宅」は昭和40年頃まで郵便局として使用されていたもので、鬼瓦には「〒」マーク・・何ともユニークな建物だ。

地区唯一の「吉良川スーパー」

当たり前のように夜は閉まっていた。

現役の理髪店だろうか。

やはり路地裏の風情が抜群である。

「角屋」の前にあるこちらの建物がオーナー夫妻のご自宅。

室戸市吉良川。

“ご当地”と言う言葉があるが、まさにそれがぴったりの、この地ならではの独特な町並みだった。

先人の深遠なる知恵に感服しながら、一夜の世話になったこの地に別れを告げた。

[訪問日:2018年11月25日]


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