“でんけん”へ行こう。うきは市・新川田篭地区の農村風景

福岡県東南部にあるうきは市には、重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)がふたつある。
ひとつが、筑後川の支流、隈上(くまのうえ)川流域にある「新川田篭(にいかわたごもり)」地区だ。

遠征三日目の朝。日田を出発し、まず最初にこの新川田篭地区を散策した。

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うきは市新川田篭

「新川」と「田篭」は地区の名前で、さらにそれぞれにいくつかの集落が点在している。
全長で6kmほどある川沿いのエリアがまるごと保存地区になっていて全体としてはかなり広い。

集落の特徴としては、石垣で段々をつくった棚田と、古いものでは茅葺屋根もある江戸時代以降の主屋によって構成される昔ながらの農村風景である。

ここの近くには、棚田百選にもなっている「つづら棚田」がある。

かつては日本中どこでも見られたであろう里山風景を今に残していることで、2012年に「山村集落」として重伝建に選定。

鏝絵がハイレベルすぎる…。

諏訪神社

集落の産土神社として、永きに渡り住人を見守り続けて来たのであろう諏訪神社。
本殿は江戸時代の1687年改築、拝殿はこちらも江戸時代、享保元(1716)年改築と長い歴史を有している。

幾ばくかの茅葺屋根が残る一方、トタン屋根に置き換わっている家屋のほうが数としては多い印象を受けた。

茅葺きはね、手間とお金がものすごくかかるんです。

商店すらない山間の集落で一夜を過ごすことは、どれほど素晴らしい体験なのか。
その答えを持つ、一軒の農家民宿が集落にはあった。

重要文化財「平川家住宅」。
上から見たら屋根が「コ」の字型になっている独特の意匠で、九州でも福岡や熊本など一部の地域でしか見ることのできないものだそうだ。

バス停も重要文化財レベル。

またしても惚れ惚れする鏝絵を持つ・・こちらは元商店だろうか。

茅葺き民家と棚田が織りなす日本の原風景とも言える新川田篭地区も、やはり過疎化が深刻に進んでいるようで集落としての存続が危ぶまれる状況となっているそうだ。

まだ校舎が残っていたが、小学校も廃校となっていた。

地域を維持するための定住者や関係者を増やすことが急務となっており、最近流行りの「移住体験住宅」も築100年の古民家を使って整備されている。(ちょっと住んでみたい)

こんなにものどかで美しい集落がもし消滅するようなことがあれば、それはもう日本の宝を失うことに等しい。

囲炉裏カフェ里楽(リラク)

何としても後世に。維持、継承するために一人でも多くの方が現地に足を運び、それが何かのきっかけになれば、などと思ったりする。

キウイフルーツの木。珍しい。

この風景を見て心が落ち着くのは、それが日本人のDNAに刻み込まれている心象風景に共鳴するからなのだろうと思う。

オススメは田植えの後。満々と水を湛えた棚田は、きっと貴方の心にも潤いを届けてくれるはずである。

[訪問日:2018年12月31日]