福岡の一番南。大分、熊本と接する文字通り端っこに位置する八女市は、お茶の産地として有名なところだ。
この八女の黒木町なるところに、在郷町として栄えた古い町並みがある。
この酔狂な趣味(もはやライフワークに近い)がなければ、八女市なんてたぶん生涯足を運ぶことはなかったであろう。
知らないまちを歩くのはいい。驚きや感動に出会える。この趣味に感謝である。
八女市黒木
江戸時代に整備された旧往還道(豊後別路)。久留米から、八女を経由して豊後(大分)へといたるその街道筋のまちとして、黒木は栄えた。
お茶や炭など、当地で生産された特産物の集散地として、街道沿いには蔵造りの商家が立ち並び大いに賑わったそうだ。
明治から大正へ、日本が近代化へと進む過程で鉄道や幹線から大きく外れた黒木は必然的に衰退への道を歩むことになり、結果的に古い町並みが取り残された。
町並み以外にも水路や橋、棚田などを含んだ一帯の景観に価値が認められ、2009年には「在郷町」として重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に選定された。
建物の特徴は、前回書いた筑後吉井と同じ白漆喰の「居蔵造り」。基本的にそのどれもが大型で、いかに栄えたかを物語る町並みを展開している。
町名は西から「下町」「中町」「上町」と並び、下町だけは国道442号線の一本南を通っている。
「津江神社前」交差点が西端となり、有名な大藤(フジの木)あたりまでが保存地区の範囲。
端から端まで、ゆっくり歩いたらなんだかんだ15分ぐらいはかかる。
商家の構えはものすごく立派なのに、まったく観光地然としてないところが逆に好感が持てた。いい町並みだ。
あの女優の出身地だった
そんな黒木の町並み。実はここ、宝塚出身の名女優、黒木瞳の出身地だったりする。
しかも、実家は「下町」だったそうだからまさに地元中の地元。
まぁ、ここ歩いたときはそんなこと露ほども知らなかったんだけど(笑)
もしかしたら有名な話なのかもしれないけど、「黒木瞳」の芸名は同郷の五木寛之が命名したらしい。もちろん地名から取って。
あの名女優が子供の頃、この辺で遊んでたのか・・
ちなみに、今でこそ八女市だけど、デビュー当時は黒木町。しかも読み方は「くろき」じゃなくて「くろぎ」。
さっきからこの件について色々調べてたんだけど、やっぱり黒木瞳は美人ですね(* ̄∇ ̄*)
脱線しまくったけど、下町はこんなところにしときましょう。
重厚な居蔵造りのオンパレードでお腹いっぱいだ。
中町~上町
国道沿いの中町~上町はさらっと流す程度で。
上町の交差点から先では、醤油蔵と造り酒屋が並び昔日の面影を見ることができる。
この少し先に「黒木の大藤」があって、さらに酒蔵や醤油蔵が並ぶ裏通りも風情があってよき・・とのことだけど残念なことにここらで引き返してしまった。
毎年4月頃には「八女黒木大藤まつり」が開催される、黒木の町並み。
賑わった時代の名残は、今も確かにその場所にあった。
[訪問日:2018年12月31日]
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