福岡県うきは市。のどかな山村集落、「新川田篭地区」とともに重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)になっているのが筑後吉井にある『白壁の町並み』である。
うきは市は2005年に吉井町と浮羽町が合併してできた新設の市で、旧吉井町のほうが市の中心部にあたる。白壁の町並みはそのあたりにある。
文化会館の前に観光客向けの無料駐車場があったので、そこから散策開始。
大晦日だけあり、さすがに観光協会は休館日。マップが手に入らなかったので直感を頼りに歩くことにした。
久留米と天領日田を結ぶ「豊後街道」、現在の国道210号線の街路沿いからまずは見て行こう。
About「白壁の町並み」
久大本線の筑後吉井駅から徒歩5分ぐらいで行けてしまう白壁の町並みは、江戸時代に豊後街道の宿場町として栄えた場所である。
同時に、木蝋や酒造などを中心とした商業も盛んで、「吉井銀(よしいがね)」と呼ばれる金融業への投資も手伝って商人たちは莫大な富を築いた。
ところが、明治初期までに3回もの大火に襲われるという不運に見舞われ、その結果として町並みが火災に強い漆喰の蔵造りに変化していった。
かくして、「居蔵家(いぐらや)」と呼ばれる金に物を言わせた巨大な蔵造りの商家が立ち並び、最盛期より数を減らしたものの今でも70棟余りが良好に残っている。
そんなわけで、旧豊後街道に沿うエリアとその北側が、1996年に「在郷町」として重伝建に選定された。
この手の古い町並みは大抵が旧街道沿いや城下町、港のそばなど現在の幹線から外れた場所にあることがほとんどでなので、こうして幹線、ましてや国道沿いにこれほど良好に残っているのは結構珍しい。
入母屋造り妻入りの碓井家住宅(大正7年)。
鼠漆喰が特徴的。
人目を避けるように、ひっそりと庚申塔が立っていた。
商人たちの間で庚申信仰が浸透していたのだろうか。
鏝絵が刻まれた商家。鏝絵のある建物はほとんどなかったので、ひときわ目についた。
交通量が多い上に、重量級の商家は道路の反対側からでないと写真に収まらないので、ここでは何とも困難な撮影を強いられることになった。
壁面に見られた幾何学的な配置からは、職人の深い心意気が感じられた。
筑後吉井。見どころの多いまちである。
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