神戸から約1時間。
国内の生産量約70%を誇る算盤(播州そろばん)の産地である小野市。人口約5万人。
これは最近になってから知ったことであるが、小学生の頃に算盤を習っていた筆者としては、当時所有していたのはもしかしたら小野産だったのかもなぁ・・なんてことをしみじみと思った。
小野を訪れた動機は前回書いたとおりだが、途中通り抜けた小野商店街、通称「サンロードおの」がなかなかに渋かったのでこうして別記事にすることにした。
2016年にリニューアルされたアーケードがなんだか可愛らしい。
サンロードおの
商店街の入口までは、駅から徒歩5分強と言ったところだろうか。
早速アーケードの内部を見て行こう。
ぽつぽつと、厨子二階のずいぶん古そうな町家が残っていていきなり驚かされた。
前回ちょろっと触れたとおり、小野は古くから算盤と刃物(金物)で栄えた商業都市である。
播州算盤は室町時代、播州刃物は江戸時代に起源を持つ歴史ある地場産業だ。
古いまちなのでこういう建物が出てきてもさして驚くことはない。
アーケードは昭和58年に完成したと言う。
そろそろアラフォーに差し掛かる。いいおっさんである。
日曜にも関わらず、いや、むしろ日曜だったからなのか、まったく人がいない。
それ以前に開いてる店がほとんどない。
結構末期的な状況だ。
立派な建物も人に愛でられなければ宝の持ち腐れでしかない。
もったいないよなぁ、ホント。
中間あたりに、サンパークなる小さな公園があった。
商店街を訪れる人たちの憩いの場として昭和63年に完成したそうだが、悲しいことに憩ってる人が一人もいなかった。
市役所、警察署、図書館など市の中枢は商店街を抜けた先に現れる「大池」の向こう側にあり、事実上はそちらが小野市の中心部となっている。
大池のそばに友人が住んでいたこともあり、それについては前から知っていた。
その友人の家には何度か遊びに行っており、確かそのとき一度だけ帰りに電車を使ったことがあるので、おそらくこの商店街も歩いているはず。
まさか10年ほど経ってまったく違う理由でこうして歩くことになるとは夢にも思わなかった。
彼は元気にしてるだろうか。
大池の近くにイオンがあるんだけど(当時はサティだったような)、郊外のロードサイドに商業施設が建つと、駅前の商店街はこうして寂れていくんですよね。
って言う地方都市の模範的なお手本を見せられているようで、なんだか妙に切なかった。
創業明治20年の和菓子屋「亀屋本舗」。
元呉服店の建物。
いい錆び具合。
なんか間口が短すぎる気もするけど・・。元お好み焼き屋だったよう。
たこ焼き屋みたいな対面販売だったのかな。
「播州カフェ」として再生した建物。
その名も『おの夢館』。
職人の数が激減し、算盤も金物もかなり低迷しているようで、、
伝統産業や工芸品を守るために、あちこちで「継業」が叫ばれている昨今。
小野市に興味を持たれた方は、現地に足を運んでみてはいかがでしょう。
[訪問日:2020年2月2日]
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