算盤と刃物で栄えた『小野市』に残る謎の遊里を訪ねた

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兵庫県小野市。

関西人でなければ「どこそれ?」必至の、かなりマイナーな市であることは確かである。

一応紹介しておくと、有名なものはひまわり畑(ひまわりの丘公園)

以上!

 

それぐらい説明に困る小野市に、とても大事な用があって出かけてきた。
2ヶ月ほど前の話である。

神戸電鉄に乗って。鈴蘭台からさらに45分。
なんちゅー遠さだ。。

ようやく小野に到着。

 

小野商店街

小野は昔友人が住んでいたので、何度か遊びに来たことがあった。

懐かしさに駆られながら、約800mの小野商店街(サンロードおの)を通り抜けた。
趣のある建物が多かったので、商店街は改めて別の記事で書こうと思う。

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謎の遊里を見に来た

最初に「んん?」ってなった建物

発端は、SNSだったような気がする。
とても味のある元スナックのような建物に・・ってこれ今言ったらダメなやつだ。

 

とにかく、これははよ行かんとマズそうだ・・と思ったので速やかに行動に移すことにした。

もったいぶってもしょうがないので、早速ご登場願おう。

 

断っておくと、付近はふっつーの平凡な住宅街である。

出口がやや膨らんだ四ツ辻。その先にあるものに目をやる。
なぜこんなものがこんなところに・・

クラブ月光

今にも崩落寸前の痛々しい姿。
「はよ行かんとマズそうだ」の答えがこれだった。

とりあえずまだあったことに安堵した。

どう見ても自然の作用とは思えない崩れ方をしており、ほっといたら色んな意味で危険そうだ。

立入禁止のためなのか、つっかえ棒代わりなのかわからない板で隠れているが、注意深くドアの上に目をやる。

カフエーの鑑札

あった・・

はるばる来たのはこれが見たかったからなのだ。
よかった。

 

これにてミッション・コンプリート!
めでたしめでたし。

 

 

…これで終わらせたらさすがに多方向から石が飛んできそうなのでもう少し続けさせていただきます(笑)

 

さて、目的の場所を突き止め目的のものを見れた。
ここまでは予定通りである。

では、次のフェーズに移ろう。
ここは一体何なのだ?

横にある「小町」さんは、以前はお好み焼き屋だったようだ。

しかし、ファサードを見れば“ただの飲食店”ではなさそうなことは容易に理解できる。

そして極めつけがこれだ。
これは・・どう見てもカフエー建築の類ではないか。

何か屋号のようなものが見て取れるが・・

読めん。。

 

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小野市の図書館に行った

Web上(ほぼSNS)で写真はちょくちょく見かけるが、“ここがどういったところだったのか”については情報が皆無だった。

埒が明かないので、日を改めて小野市の図書館に赴いた。

結論から言うと、色街や遊里に関する記載は市史にはなし。
一番古い住宅地図は1996年。

もっと時間かければ何か出てきたかもしれないが・・結果だけ見れば完敗だった。

唯一、市立好古館が発行した「祭りとくらしの移り変わり」と言う冊子(たぶん非売品)にこんな記述を見つけた。

昭和6年(1931)6月24日付『神戸又新日報』は、見出しを「小野町でもカフェー全盛」とし、「小野町は市街地800戸であるが、近頃食堂、カフェーが続出して、昨今16軒という多数になり、そこに約80名の女給」が働いていると報じています。さらに同紙同年7月21日付紙面では「小野町では昨今料理屋23軒、カフェー16軒、芸妓置屋5軒、遊技場7軒あり」としています。

 

戦前の話ではあるが、少なくとも小野に花街のような遊興の場があったことは確かなようだ。

なお、小野は算盤と刃物(金物)の生産で発展した町で、大正時代に算盤問屋が増えたことで遊興施設も増えていったと言う記載があった。

ちなみに、1996年の住宅地図を眺めてみても、さすがにここが色街であった手がかりは残っていなかった。

スナックとスタンドが1軒ずつ認められ、一番新しい2017年の地図にもそれらは存在していた。

なお、このラーメン屋は96年版では焼肉屋だった。

裏手に回ると、表よりも酷い状況だった。
これはいつ取り壊されてもおかしくないだろう。

 

謎の遊里は、結局最後まで謎のままだった。
読んで字のごとく、「小野のカフェー街」と呼んでる人がいたのでそのままその呼称を採用させてもらうことにする。

 

歴史を特定するにはいたらなかったが、これほど魅力的な意匠を持った建物にはそうそう出会えない、そんな一角が播州の小都市に残されている。

マジで崩落しそうなので、見学したい方は早めに訪れたほうがよいと思う。

#レトロは急げ

[訪問日:2020年2月2日]


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