大阪には『新地』という独特の色街がある。
かつて遊郭や花街だった場所が、売防法施行後に料亭や旅館として表向きの営業を続けている地域で、全部で五ヶ所ある。
以下、それぞれの歴史、特徴、場所などをざっくばらんに綴っていきたいと思う。
今里新地
※2018年2月に再訪し、大幅画像追加と加筆修正実施
地下鉄千日前線、今里筋線、さらに近鉄と3つの駅がある今里。この中で、新地へは近鉄今里駅が最も近い。ちんたら歩いても10分程度で到着する。
今里新地は、昭和4年末に花街として産声を上げた。松島遊郭の移転をめぐって起きた事件、松島遊郭移転疑獄のすったもんだの末に開業したという何ともきな臭い歴史を持っている。
駅前を真っ直ぐ南下し、セブンイレブンの先の信号を右折。そこからブロックふたつ越えたあたりが新地の入口となる。
戦後は花街から赤線に移行し、その系譜を汲んで現在はちょんの間街となっている。
かつて『今里新地』とでかでかと書かれたネオンアーチがあった場所。新地の象徴とも言えるそのゲートは2014年の春頃に撤去されたらしく、そばにあった渋いたばこ屋もコインパーキングになっていた。
来るのがもうちょっと早ければお目にかかれたのが残念でならない。
2018年2月再訪。コインパーキングはローソンへ。
アーチのあった交差点の場所
新地の内部。
元々花街だっただけに、料亭のような古い建物がぽつぽつ残っているのが特徴。しかし、一般住宅との境目があいまいな上に、住宅に転用されている遺構もあったりで他の新地とは少し趣が異なっている。
新地の範囲は、ざっくり言うと東西4本、南北3本の街路で区画された6つのブロック。東西200m、南北130mぐらいなのでそんなに広くはない。
プラス、東側のブロックにも料亭があるので実際の範囲はだいたい以下のようになる。
料亭の数は、数えたわけではないが10軒よりは多くて20軒よりは少なかった、ぐらいだったかと思う。連続して数軒並んでいるところもあるが、ぽつんと1軒だけ建っているところもあった。
中には廃業して売物件になっているものもあった。
五新地の中では滝井と並んでマイナーなところだし、日曜の夜に行ってもほとんど人が歩いてなかったのでまぁしょうがないのかな、と思う部分もある。
それどころか、華やかなネオン等もないし何も知らない人が来れば普通の住宅街だと思うかもしれない。
それぐらい違和感なく周囲の街並みに溶け込んでいた。
元花街だっただけあって、“本物の料亭”も一応まだ残っていて、そのうちの1軒は確実に営業してそうな雰囲気があった。
芸者さんを呼んだりできるんでしょうかね。
この提灯だけ見ると、一見まだ組合は健在なような感じがするけど、さすがに芸妓の手配とかはもうやってないんじゃないかなぁ…
ここは開店が15時頃なので、その前であれば比較的のんびり散策することができる。
ただ、治安面では不安があることは否めないので、あまり無遠慮に写真撮ったりはしないほうがよいと思う。
前回(2014年夏)来たときはほとんど入口付近だけしか歩いてなかったので、いざじっくり見てみると料亭数の少なさや末期的な感じだけが際立ってある意味ショックだった。
常連さんやコアなファンに支えられてるみたいだけど、ちょっと寂しいですね。
営業時間は15時頃からとなっているので、夕方以降に行けば間違いないでしょう。
ここは外から呼んでもらう置屋形式なので、あまり迷う必要がない。どこに入っても変わらないから。
料金は30分13k、もしくはその倍。
実はリーズナブルなので、遊びたいけど出費を抑えたい、なんてときにはいいかもしれない。
(松島新地編へ続く)
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