鶴橋ダンジョン攻略記2020 ~異界への扉は大阪にあった~

大阪府
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好きなものを最初に食べるか、最後まで取っておくか。

これは人類が直面する、最大にして最も難解な問題ではないかと思う。
永遠のテーマと言っても過言ではない。

ちなみに筆者は後者のタイプである。
そしてこれは食事のみならず、他においても同様の傾向を示す。

『鶴橋商店街』になかなか足が向かなかったのは、これすなわちそれが理由である。
ラスボスに挑むためには入念な準備をし、経験値を上げておかねばならないと思っていた。

そして時は流れ、2020年1月。

 

賽は投げられた。

鶴橋。JR、近鉄、地下鉄千日前線が乗り入れるターミナル駅で、JRの西側が天王寺区、東側、近鉄の線路より北側が東成区、そして南側が生野区と行政区域が非常にごちゃごちゃしているまちである。

また、コリアンタウンとしても有名で鶴橋と言えば焼肉のイメージが強い。

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鶴橋ダンジョン

そんな鶴橋の駅前には戦後闇市由来の巨大なアーケードが張り巡らされており、信じられないことにほとんど当時の姿をとどめている。

メインとなるのがJRと近鉄に挟まれた東成区サイドにある『鶴橋商店街』。
誇張でもなんでもなく、駅を出たらすぐにこんな光景が待っている。

商店街の公式サイトにここの歴史が載っている。

戦後間もない昭和20年の秋に広まった闇市としてスタートしたのが、 鶴橋商店街の始まりです。
近鉄とJR(旧国鉄)が交わる鶴橋は戦前から交通・物流の要衝でした。
戦時中の空襲でそれらの鉄道が壊滅的な被害を受けなかったことが鶴橋に闇市として機能した要因です。

昭和21年頃にはいくつかの商店街が結成され、現在の商店街の原型が出来始めました。
様々な商品を扱うお店が並んでいたことから「鶴橋に行けばなんでも揃う」と言われてきました。

闇市を起源とする市場や戦後すぐぐらいから残るアーケードは、それこそ視野を全国に向ければそれなりにある。
このブログでもそういう場所をたくさん扱ってきた。

高麗市場

それがこの規模で、それも普通に現役なのである。
まるで何かの奇跡を目の当たりにしているかのようだった。

昼なお暗い商店街。構造やその雰囲気から、一部の人間からは“鶴橋ダンジョン”と呼ばれて親しまれている。
そんな巨大な迷路を、気が済むまで彷徨ったのがこの日の記録である。

一年以上前にも関わらず、改めて写真を見返すとこの日の出来事がありありと脳裏に蘇ってきた。
それぐらい衝撃的、かつ非現実的な光景を見せられ続けたことがその理由であろう。

『鶴橋商店街』は古い市場やレトロアーケードが好きな人には聖地と言える場所である。
おそらく全国でもトップクラス、いや、ナンバーワンと言い切ってもいいかもしれない。

古さはともかく規模まで考えると、少なくとも東京で比肩できる市場はないと思う。

鶴橋商店街の正式名称は「鶴橋商店街振興組合」で、通称を“つるしん”と言う。

「鶴橋商店街」と言えば狭義ではこのつるしんのことを指す。
実際は、つるしんに隣接する形でいくつかの商店会がくっついている感じになっており、広義ではそのへん全部ひっくるめて鶴橋商店街と呼ばれている(気がする)。

先ほどの「高麗市場」もそのひとつで、おそらくここが最も闇市っぽい雰囲気を残している。

ちなみに焼肉屋が多いエリアはつるしんから見てJRの西側で、こちらは「鶴橋西商店街」という名がついている。

なるべく人がいないタイミングを見計らっての撮影を強いられたが、とにかく人の多さと活気が半端なかった。
コロナ禍以前の話なので今はわからないが、地域密着型の市場なのだ。間違っても閑古鳥ということはないだろう。

余談だが、インバウンド狙いのぼったくり価格が常態化して地元客をないがしろにしてきた京都の某市場と大阪の某市場は、前年比90数パーセント減という目も当てられない惨状を露呈してそれみたことかとネット民に叩かれまくっていた。

「鶴橋卸売市場」も別の組合である

市場は地域のために存在してナンボである。その本質を忘れてはならないという教訓をコロナ禍は教えてくれたような気がする。

 

この日、いつものミラーレスと50mmを装着した一眼レフの二台体制で臨んだ。
なんせ、ラスボスと崇め畏怖の念さえ抱く「鶴橋商店街」が相手である。いい加減な装備で立ち向かうのが許されるほどダンジョンは甘いところではないのだ。

市場は生き物である。生身の人間同士が触れ合う空気感や熱量を細部まで描写しようと思えばやはりそれなりのカメラで臨まねばならぬ。

これはあくまで主観であるが、筆者はアマチュアとて写真をやる人間なので、いくら高画質化したと言ってもスマホがカメラに置き換わりつつある昨今の風潮はちょっと看過できない。

ミラーレス化していく潮流はもう諦めてはいるが、コンデジが駆逐されたようにスマホが一眼レフに取って代わることはあってはならないと思っている。
所詮は他の機能がついた電話機であり、決してカメラにはなり得ないからだ。

そんなこだわりがあるので、このブログで掲載している写真はちゃんとしたカメラで撮影したものしかない。
そもそも、3:2のアスペクト比に慣れてしまっているのでスマホに多い16:9では長辺が長過ぎてなんだか気持ち悪い。

与太話はこれぐらいにしておこう。

こんな風に誰もマスクをせずに人混みを歩ける日はいつになったら取り戻せるのだろうか。

(2ページ目へ続く)

コメント

  1. 同行二人 より:

    お写真を拝見して,ここは良いカメラで撮っておくべきだなと思った次第

  2. 同行二人 より:

    iPhone12が欲しい今日この頃です・・・

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