あくる朝、朝食前に旅館のまわりを少し散歩した。
この日も筋書き通りの上天気だった。
部屋からの眺望。辛うじて海が見える。
すぐそばまで海だった時代はさぞ爽快な眺めだったことだろう。
少し時系列が前後するが、三階を案内していなかったのでご紹介しよう。
三階には大広間とトイレがある。
トイレの鍵が時代を感じさせる。
こちらは昔のまま残していると伺った。
ご主人の話では、天野屋旅館はもともとは二階建てだったそうだ。
「一度潰して三階建てにした」と仰っていたが、さらに聞くと今の建物は戦後すぐぐらいのものなのだとか。
つまり、開業は明治だが今の建物は75年ぐらいということになろうか。
あと、色々と伺う中で「天井がアールになっている」と言う話があったが、それは大広間のことであろうと写真を見返して理解した。
確かに天井の端が曲線を描いている。
「昔は“石のほう”で景気が良くて宴会があったり、林間学校なんかもあったので借り入れしてもすぐにペイできたんですよ」
これだけの大広間があるのはやはり相応の理由があってのことなのだ。
出発前にお話を伺ったご主人は、話しぶりや振る舞いから人柄の良さがにじみ出てくる方で本当に最後まで気持ちよく過ごすことができた。
旅館に泊まるとき、コミュニケーションが原因で微妙な思いをすることがたまにあるけど、天野屋さんは掛け値なしにもう一度泊まりに行きたいと思える旅館だった。
三階から二階へ降りる階段。
降りて右へ曲がると一階へ続く階段がある。
朝食
時計の針を翌朝に戻そう。
朝食も部屋出し。至れり尽くせりの待遇に大満足。
朝からこんなご馳走を頂いていいんだろうか…。
それはつまり、確実に昼を抜くことを意味するわけで(笑)
さて、名残惜しくもお暇する時間が近づいてきた。
大浦港、9:05のフェリーで北木島を発つことを告げ、最後にロビーでご主人から少しお話を伺った。
よく見ると、この頃にはもう三階建てになっていたことがわかる。
つまり、戦後建て替える前にはすでに三階建てだったのだろうと思う。
今度お伺いする機会があればご主人に訊いてみよう。
こちらは、大阪城の石垣のために石を切り出した際に積み残したと言われるもので北木島の観光名所にもなっている。
時間があったら見て行きたかったな。
大浦港は歩いても5分かからないぐらいなのに、ご厚意で送って頂くことに。
本当に最後までありがたい気持ちにさせられてしまって、今思い出しても天野屋旅館で過ごした一夜はかけがえのない時間だった。
北木島に遊びに行かれる際は、是非とも天野屋旅館さんをご検討いただけると筆者としても嬉しい限りである。
[2020年10月宿泊]
コメント