静岡の由比と言えば、何はともあれ「桜えび」で有名なまちである。
桜えびは全国でも駿河湾でしか水揚げされない激レアな魚介類で、とりわけ由比漁港がその代表格として君臨している。
漁港には「浜のかきあげや」なる直売所があり、週末ともなれば県内外から集う人々ですさまじい行列になる超人気店である。
そんな由比のもうひとつの顔が、旧東海道の宿場町。江戸の日本橋から数えて16番目の宿場、「由比宿」を歩くのがこの日のミッションだった。
ゆい桜えび館に併設した『桜えび茶屋』でかき揚げ丼に舌鼓を打ち、散策開始。
現東海道(国道1号)の北側に並行する旧東海道へ移動すると、枡形の名残を見つけた。
なるほど、この先が由比宿のようだ。
由比は海と山に挟まれた、“猫の額”のような狭いまちである。
1号線も東名高速も陸地の際っきわを通しており、何なら一部は海にせり出している。
そんな土地柄ゆえか、宿場の規模も東海道の中では小さいほうだった。
旧街道を歩くと、確かに古そうな家屋がちらほら残っている。
本陣跡を整備した「由比本陣公園」。
明治に入ったところで本陣は取り壊され、公園として整備された。
年末で開いてなかったが、中には「東海道広重美術館」と明治天皇が
行幸した「御幸亭」がある。
江戸初期に幕府への陰謀を企てた慶安事件で知られる「由比正雪」の生家が本陣の前に残っている。
実際にこの紺屋は江戸初期から続いており、「正雪紺屋」の屋号がつけられている。
大正浪漫漂う旧「和紙と錦織の館」。
1925(大正14)年築の清水銀行由比支店。(登録有形文化財)
銀行の先に西側の枡形跡があり、由比宿はそこで終わり。
え?終わり?
ホント小さい宿場町だった…。
が、実は江戸時代に宿場の範囲が大幅に拡がっており、この先由比駅あたりまで続いている。
という訳で、由比川を渡って先を見てみることにしよう。
見どころは先にあった
結論から言うと、古そうな建物は後年拡大されたエリアのほうがよく残っていた。
いわゆる「出桁造り」の一種で、由比特有の様式「せがい造り」。
通常の出桁造りは腕木、桁、垂木の三段構成になるけど、せがい造りは腕木をさらに1段付け足して
腕木、腕木、桁、垂木
となっているのが特徴。
川を渡ると、東から「北田」「町屋原」「今宿」と続く。
これは北田あたり。
静岡と言えば青島みかん。
かわいい売り子さんだこと…。
実は歩いたときはどのあたりが由比宿の範囲なのかあんまりわかっていなかった(笑)
とりあえず古そうな建物残ってるし、もうちょっと行ってみっか・・的なノリでずんずん歩き続けたら、最終的に駅まで行ってしまった。
枡形跡から片道ちょうど2km。なんだかんだ往復で4km。よく歩いた。
何ていう様式なのか分からないけど、高さの異なる家屋をガッチャンコしたこういう建物が多かった。
商店と住宅をくっつけた・・とかなのかな?
これもせがい造り。
やっぱり商店と住宅のような気がするな。
このあたりはちょっとした商店街を形成しているようで、商店になっている建物もそこそこ多かった。
進めば進むほど、帰りも同じ距離歩くのか・・だるいなぁってなってくるよねw
そんなモードになった頃、由比駅に到着。
いつの間にか日も傾きかけて来た。
帰ろう。
クルマに戻るために、由比川べりを曲がってショートカットしようとしたところでしぶ~い焼き鳥屋を発見。
素敵なたたずま・・ん?
じわじわと距離を詰めてみると・・
バー頂きました。ごちそうさまでした。
静岡の「バー」は初めてかも。。桜えび以上に激レアでした。
この日食べたかき揚げ丼、写真撮り忘れてたようなのでこそっと2008年の写真貼っときます…。
※同じ店です
由比に遊びに行った暁には、桜えびと由比宿の町並みをどうぞご贔屓に。
[訪問日:2020年12月29日]
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