天下茶屋駅から西へ歩いて10分ほど。
国道26号線を越えてしばらく行くと、浪速のローカル線こと南海汐見橋線の「西天下茶屋駅」にたどり着く。
駅を右手に見やりながら線路を渡ると、出し抜けにY字路と正対する。
遠目に小さく見えるあるモノに吸い寄せられるように左の道を進むと、程なく「銀座商店街」と刻まれたアーケード、すなわち目的地と対峙することになった。
先に言っておくと、西天下茶屋のアーケードは大阪市内の数あるレトロ商店街の中でも屈指の規模と古さを兼ね備えている。
五本、いや、あるいは三本の指に入るかもしれぬ。それぐらいのポテンシャルを秘めている。
それを裏付けるかのように、足を踏み入れてすぐのところにこの純喫茶「マルヤ」が店を構えている。
今年で創業90年近いというスーパー老舗喫茶店なのであるが、すごいのがその価格設定。
一度も値上げしたことないんじゃないの?ってツッコみたくなるほどに安い。
残念ながらこの日は時間の都合で寄れなかったが、いつの日か必ずや足を運びたいと思っている。
※2023年に店主がお亡くなりになったそうです。残念すぎる。。
そのまま西へ進む。
もはや絶滅危惧種となった町のおもちゃ屋さん。
謎に大阪と沖縄が融合したいか焼き&サータアンダギーの店。
吊り下げ看板のデザインがかわいい。
これずっと見てられるやつや。
そしてもう一軒。
こちらも純喫茶界隈では有名な「フォーミラー」さん。
ディスプレイが超絶昭和すぎて悶絶するレベル。
これはもう、次来たときは入店は至上命題だ。
果たして銀座商店街。100mほどで終わりを告げた。
長さとしてはあまり長くはない。
振り返って西天下茶屋駅方面を見る。
いやはやいい商店街だった。
じゃあ、名残惜しいけどそろそろ次へ・・
とんでもない。
フルコースに例えるなら、食前酒とようやく前菜が出てきたあたりだ。
メインディッシュの前に席を立つ阿呆が一体どこの世界にいるというのか。
マルヤの角から南へ別の路地が伸びている。
肉と魚、どちらを選ぶにしてもそれはまだ先の話。
先にスープを召し上がれ。
西天商店会
銀座商店街と直交するアーケードは「西天商店会」という名前らしい。
一部解体されていたりしたが、全体的には銀座商店街と遜色ないレベルのアーケードが続いている。
衣類のチェーンストアー マルエー
「西天下茶屋店」ってことは他の場所にもあったのか。
「壮観な眺め」って言葉はきっとこういうときに使うんだろうな。
200mほど行くと、突如目の前の道が二手に分かれた。
“肉”か“魚”か。決断を迫られる瞬間である。
人生の岐路と言うのは往々にして迷うものである。
激渋な天ぷら屋の佇まいに見惚れ、しばし立ち止まって思案を重ねた。
そして、渾身の答えをひねり出した。
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