明治創業の元料亭。真壁「伊勢屋旅館」に泊まった話

茨城県
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前の記事で真壁の重伝建地区の話を書いたので、その流れで今日は「伊勢屋旅館」の話を。
昨年真壁を再訪し、今度来るときは絶対ここで泊まろうと決めていた伊勢屋旅館さんで宿をとった。

伊勢屋旅館

下宿通りに立つ伊勢屋旅館さんは、前回さらっと触れたとおり元々は「勢州楼」という料亭で建物は明治中期。旅館の営業を始めたのが70~80年前とのこと。
登録有形文化財になったのは平成12年。

このときは町並みの撮影目的で来たんだけど、こんな風に現地に泊まれるところがあるとホント楽なのよね。ないところも結構多いので。

中に入ると正面には昔のままの帳場がある。
女将さんにご挨拶し、無事にチェックインを果たした。

泊まったのは二階の2番の部屋。
先人たちの体験談を読むとみんな例外なくココだった(笑)

なお、この部屋があるのは正面から見える主屋ではなく、奥に立つ昭和に改築(女将さんのお兄さんが小学生の頃と仰っていた)した別の棟。

この日は夜行バスで大阪から栃木入りし、暑い中朝から散々歩き回ったのでようやく涼しい部屋で一息つくことができた。夜には夜景撮影も控えていたのでしばし休息。。

冷たいお茶が骨身に沁み渡る・・

「感謝」と書かれた素敵なタオルがなんだか使うのが惜しくてそのまま持って帰ったんだけど、そう言えばいまだに感謝の気持ちを開けられていないことを思い出した・・w

こういうちょっとした演出というか、遊び心もよき。

この不思議な電話機は着信専用のものだそうな。
デザインもすごいけど、今はなきナショナル製なところにグッとくる。

窓を開けると、裏手に立つ土蔵が見える。
実は主屋とこの土蔵が登録有形文化財に登録されている。

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伊勢屋旅館の食事

この日泊まっていたのは筆者のみで、お風呂沸いてますから、と促されるまま先に風呂に入り、その後夕食となった。
暑いからついついビール頼んでしまったけど、よく考えたらこのあと撮影でガッツリ歩くんだった。。

大満足の夕食を終え、もうひと仕事してから一日を終えた。

そしてあくる朝。

6時過ぎから町並みの撮影に勤しみ、8時前に部屋に戻った。
そう言えば食事って部屋出しだったんだな。

朝食も大変美味しゅう頂きました。
箸袋の「文化庁登録文化財の宿」が大変よき。

食後に珈琲を頂き、もう大満足。

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館内を散策

少し女将さんに案内してもらいつつ、館内を散策。
廊下の突き当たりにある段差を越えて主屋へ。

こちらの二階は宴会場のような趣きの広間となっており、プロの講師を招いて色々なレッスンを行う「伊勢屋カルチャー」という講座が開かれるそうで。(机の上にあるのはそのパンフレット)

切り絵の講座があるところを見ると受講生が作ったのかな?と思える伊勢屋旅館の切り絵がお見事。

通りに面した部屋。
最近は客間として使ってないのかもしれないけど、ここに泊まりたかったな。

欄間には切り絵のうちわ。

縁側から下宿通りを見下ろす。

遠くに、頭だけ出した筑波山が見える。
ずいぶん前に一度だけケーブルカーで登ったけど、あれはあれで登頂とは言い難いからいつか歩いて登ろうと思ってる。

当分先になるだろうなぁ…。

これは主屋の横だったかな。

 

最後に、入口付近を色々と見させて頂いた。
もう何度見てもこの帳場が素敵すぎる。

襖の上には昔の屋号「勢州楼」の文字が。
ちなみに表の案内板には以下のような紹介文が書かれている。

伊勢屋は幕末までは「勢州楼」と称し、真壁で最も名の知れた料亭だった。男はここで宴をあげると一人前といわれていた。
現存の伝統的な町家建築の旅館は、三代前の田中萬蔵による明治中期の建築と伝わる。玄関を入ると広い帳場があり、当時の様子が偲ばれる。

重厚な柱時計。

これは・・家紋かな。

真壁のお菓子屋さんのおかきを販売。
冷蔵庫の甘酒は、やはり真壁の酒蔵「西岡本店」さんの商品。

最後に女将さんと少し立ち話をし、名残惜しくも真壁を発つことに。
遠路はるばる来たことや、このとき撮った写真が書籍として世に出たこともあってここで過ごした時間は忘れられない思い出となった。

真壁にはきっとまたいつか来ることになると思うけど、そのときは迷わず伊勢屋旅館さんにお世話になろうと思う。

[2023年9月宿泊]

コメント

  1. モノノフ より:

    勢州楼と言う屋号からしますとやはり芸者遊びが出来る料亭だったのかな、蔵の瓦と館内電話に惹かれましたねぇ(^o^)
    こんな宿に泊まれるなんて羨ましい、うちなんか絶対に家内からお許しが出ませんねぇ(^_^;)
    家紋は井桁紋ですから創業者一族の姓は「井」の付くものだったのかな、料理もなかなかのもんですね、あとは温泉があればなぁ…

    • machii.narufumi より:

      「楼」は遊郭や花街を彷彿とさせますよね。
      そして、実際に昔はそうでした、ってところが結構多いです。
      いやいや、出かける口実にしてご夫婦で泊まりに行けばよいと思いますよ(笑)

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