昔ながらの町並みが残る福井県小浜市の小浜西組地区。
かつて茶屋町だった「三丁町」に、一般公開されている旧料亭『蓬嶋楼(ほうとうろう)』がある。
蓬嶋楼の建物は明治元年に建てられ、明治初期から昭和期にかけて料亭を営んでいた。
明治10年頃は「谷民(たんたみ)」という料亭で、その規模は三丁町でも最大級だったそうである。
2015年4月から一般公開され、土日祝のみ内部を無料で見学できるようになっている。(10名以上の団体は1週間前までに要予約、有料)
いざ中へ
丸窓が美しい。吸い込まれるように中へ。
玄関を上がると右手に箱階段があり、二階へ。
かなり急なので、誤って転げ落ちないように注意されたし。
二階の窓から外を眺める。
茶屋町だった三丁町の美しい町並み・・えぇ屋根しか見えませんw
二階には座敷が二間ある。それぞれ8帖ぐらいあるだろうか。
床(とこ)が向かい合わせになっており、その意匠が実に風雅。
片方は三日月。
そして他方は満月を象っている。もしかしたら、足元の白い部分はたなびく雲をイメージしているのかもしれない。
さらにお高そうな金の屏風。価値がまったくわからないけど、きっとビックリするぐらい高いんだろうと思う。
縁側に行き、窓から外を眺める。
下に少しだけ中庭が見える。
客間へと続く廊下の先に階段があり、そこから一階へ下りる。残念ながら客間は公開されていない。
この壁のくり抜きは、桜と松をがっちゃんこしたように見える。
座敷の床といい、ここを建てた建築家はかなりのハイセンスの持ち主だったようだ。
まだあった。ブラケット照明のシェードも花びらを模したような意匠。
そして洗面台。壁のタイルには・・梅かなこれ?
さらにタオル掛けは格子のデザイン。
ここまでやられたらぐうの音も出ない。
そのまま一階へ。階段の手すりがお洒落。
こっちも急なので足滑らせないようにご注意を。
一階の大広間。
二階の座敷に比べ、やや質素な印象。
と思ったら、障子の幾何学模様がすごい。
欄間障子のギザギザは、松葉を表しているそう。
中庭。
こういうのも全部手作りなわけで、当時の職人さんの技術力がいかに高かったか。
職人文化が急速に衰退している今の日本。色々なことを考えさせられる。
最後。玄関横にある帳場。
普段はここに女将さんがいて、酔いを覚ますために酔客とは長火鉢を囲んで話をしていたそうな。
シックな色合いのタイルが美しい。
蓬嶋楼が料亭として賑わっていた頃は、多くの政財界の人たちが訪れたのだとか。
三丁町が華やかだった頃の姿は、ひとたび建物に入れば細部のいたるところから感じ取ることができた。
小浜西組を訪れた暁には、あわせて「蓬嶋楼」も見学されることをオススメしたい。
旧料亭「蓬嶋楼」
福井県小浜市小浜飛鳥64
入館料:無料
開館日:土日祝
開館時間:10時~16時
[訪問日:2017年5月4日]
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