大分県の北東部にある国東半島で、大分空港と別府のだいたい中間あたりに位置するのが杵築市(きつきし)。
杵築藩三万二千石のお膝元として発展したまちで、なかなかにユニークな城下町を持っている。今日はそれを紹介したい。
城下町は杵築の中心部にあり、海に向かって延びる台地に位置している。
これだけであればどうってことはないが、その台地の中央が谷間になっており、南北に二分されている。
百聞は一見、見たほうが早い。つまりこういうことである。
このうち、坂の上にあるのが武家町、谷間にあるのが町人地(商家町)となっている。
なんだこの露骨すぎるヒエラルキーは・・闇を感じるぞ((( ;゚Д゚)))
まずは商家町から
ここは武家町のほうが見ごたえがあるので、まずは谷間にある「商人の町」から見て行くことにする。車で来た場合は通りの真ん中へんにある市役所に停めるのがオススメ。
商家町のほうは、戦後道路が拡幅されたとかで残念ながら江戸時代の風情はだいぶ失われている。
ただ、創業100年を超える商店も多く、店構えから滲み出る貫禄がすごい。
何より、白漆喰の商家や土蔵が立ち並ぶ光景はそれだけで江戸時代の風格がある。
お茶のとまやは創業享保年間。ざっと280年ぐらい続いている老舗中の老舗。
入母屋造りの大柄な妻入り商家は「ゆとり」という居酒屋。
これだけでかけりゃそりゃゆとりもありますわな。
「きつき衆楽館」は大正期の酒蔵を改修した観光交流センター。劇場のほか、レストランや特産品コーナーがある。
木製品を販売する「萬力屋」は明治時代創業。この店の前に、『伊能忠敬測量隊別宿跡』の碑が立つ。
楽器屋まであるとは…。かなりバラエティに富んだラインナップ。
でまぁ、ここで食事しようと思ってたんだけれど、年末で飲食店がほとんど開いてなかったという残念な結果に。
南台へ
というわけで、このあたりで武家屋敷のほうへ行ってみる。まずは南台から。
ネーミングが実に安直で、北の台地が「北台」、南が「南台」。
合わせて、『杵築市北台南台』というのがここのスタンダードな呼び方。
あとそうだ、今登ってきた坂が「塩屋の坂」、北台側のが「酢屋の坂」。
これも察しの良い人であればピンとくると思うけど、それぞれ坂の上り口に塩屋と酢屋があったから、といういたくわかりやすい由縁。
南台の東のほうへやって来ると、何やら大層な豪邸が見えてくる。
これは一松邸(ひとつまつてい)という、杵築市の初代名誉市民の邸宅だったそうだ。昭和2年から2年間の歳月をかけて建てられた、当時としては相当に豪華なものだったとか。
おあつらえ向きに展望台なんかもあって、なかなかいい眺め。遠くの山の上に小さく見えるのが杵築城。
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