瀬戸大橋のたもとに位置し、近代的な高層ビルや商業施設が立ち並ぶ香川県宇多津町。
車窓から見えるその洗練された風景からほど近い場所に、時が完全に止まった「宇多津古街」と呼ばれるエリアがある。
宇多津の歴史
宇多津は江戸時代に高松藩の庇護のもと、日本一の生産量を誇る「塩田の町」として莫大な富を築いた。物資を運ぶ船が港を埋め尽くし、四国霊場への参拝客の上陸港としても栄え、文字通り四国最大級の港町として栄華を極めた。
その時代の名残を色濃く残すのが「古街(こまち)」と呼ばれる、青ノ山の北側に位置するエリアである。
宇多津古街を象徴する建物がこちらの「倉の館 三角邸」。
ヨーロッパの教会を思わせる尖った屋根とステンドグラス風の窓が、重厚な日本瓦の家屋や格子壁と見事に融合している。
正式には「旧堺家住宅」と言い、肥料商であった堺氏の別荘として昭和初期に建てられた。
さらに2007年には登録有形文化財になっている。
路地から三角邸を眺める。
この風情、なかなかに破壊力がすごい。
あてどなく路地を歩いて行くと、黒漆喰 with 虫籠窓な町家が登場。
鉢植えがいいっすなぁ。
こういう路地、好きすぎる。
たまらん。
路地を抜けると、少し開けた通りに出た。
THE・豪商な町家の登場に度肝を抜かれた、の図。
全体的に黒漆喰が多いのは何か理由があるのだろうか。
古街の家
古街の中に「古街の家」という一棟貸しの古民家宿がある。
町並み界隈では言わずと知れた、あのアレックス・カー氏が監修したことでちょっと有名な物件で、こちらは明治元年に建てられた「臨水」。
その隣に立つモルタル壁のこちらが、昭和5年築の「背山」。
いやぁ、どうせめちゃくちゃお高いんでしょう?って思ってHPを見てみたら、2名以上なら土日でも1万円を切る価格設定だった。
結構良心的なのね。
それにしても重厚な町家の多いこと。
正直、ここまですごい町並みだとは思ってませんでした。。
こちらも一棟貸しのゲストハウス。
そんなに高くなかったのでいつか機会があれば泊まってみたい。
まぁ、宇多津に泊まる機会がないよね・・って話ではあるんだけどw
これは空き家だろうなぁって当時思ったこちらの建物。
最新のストリートビューだと、左側がごっそりなくなってて奥に新築の一軒家が建ってた。
宇多津古街は丸亀街道と金毘羅街道を軸に格子状につくられた街で、道標には
東:高松
西:丸亀
の文字が刻まれていた。
なまこ壁まで見られるとは。
白壁のほうが珍しいっていうのもアレだけど、しかし立派な屋敷だ。
やはり全体的に格子窓と黒漆喰が多かった。
当時の流行りか、町並みに統一感を出すためか、とかそんな感じなのかな。
欲を言えば、これで無電柱化されたら文句なしなんだけど(笑)
この大束川までが大体古街の範囲のようだ。
む?対岸に気になる建物が。
行ってみたら現役の料亭だった。
料亭「公楽」。
建物は意外にも戦後すぐぐらいで、はじめは料理旅館だったとのこと。
余裕があれば川の東側も歩きたかったけど、この日もう1ヶ所歩く予定があったので戻ります。
この手のやつ、マンホールに書いてあるのはときどき見るけど、石畳に彫り込んであるのは初めて見た。
宇多津古街は「一社・九か寺」と呼ばれるように神社がひとつに寺が9つもある。
その中の「郷照寺」は四国八十八ヶ所霊場のひとつでもある。
四国遍路も昔から興味があっていつかやってみたいと思っているんだけど、分割や乗り物使うのはどうにも微妙なので、仕事をリタイアした後になるかなぁ。
体力的に無理そうな気がするのよね。。
波を象った意匠が珍しい。
謎の商店街
役場の近くに、アーケードの骨組みだけが残った商店街があった。
調べても分からなかったので、名前とかは特になかったのかなぁ。
かつて屋根があったことはどうやら間違いなさそうだったけど、ストリートビューでは一番古い2014年時点ですでにこの状態だった。
圧倒的な昭和がそこにはあった。
昭和のあの日、ここには確かに人々の笑い声と生活の熱量が存在していたのだろう。
ゴールドタワーや商業施設の喧騒から、そう遠くない場所にこれほど濃密な町並みが残されている。
宇多津古街。
塩田がもたらした中世・近世の格式高い誇りを底流に残しながら、剥き出しの鉄骨が青空を切り取る「昭和の幻」をもその路地に抱きかかえていた。
[訪問日:2022年5月3日]





























コメント