金沢の定番観光スポットのひとつ、長町・武家屋敷跡。
藩政時代の中流武士たちの屋敷が立ち並ぶ路地は、今もなお江戸時代の面影を色濃く残している。
その長町に久しぶりにやってきたものの、人がわっさわさいる上にまさかの雨でまともな写真がほとんど撮れなかった。
幸い町並みにも変化が見られなかったので、9割方前回(2012年8月)撮ったものを使うことにする。
長町武家屋敷跡
屈指の繁華街である香林坊や片町から余裕で徒歩圏内でありながら、江戸時代にタイムスリップしたような粛然たる雰囲気で独特の存在感を放つ長町。
ここは、古い町並みが好きな方には是非とも足を運んでいただきたい場所である。
「長町」の名は、南北に長い町であることに由来する説と、家臣の名に由来するというふたつの説があるらしい。
なお、昔の呼び名というわけではなく、今でも住所はそのまんま「長町」である。
この、武家屋敷跡の西側を南北に流れる用水が「大野庄用水」。犀川から水を取り込んだ水路で、屋敷内に水を引き入れ庭園の曲水に使われたりしていた。
さらさらとした流れは、町に風情を与え散策するものを穏やかな気持ちにさせてくれる。見事なまでに風流である。
水路に渡された橋を入口に持つ、土塀に囲まれた屋敷が続く風景。
これだけでお腹いっぱいになりそうなほどに、この町のポテンシャルは高い。
だが、この時点でまだまだ前菜レベル。メインはこれからである。
野村家
長町で唯一一般公開されている武家屋敷が、こちらの野村家。
前田利家の直臣、野村伝兵衛信貞の屋敷で、ここも長町に行ったら是非立ち寄ってほしいスポット。ちなみに大人550円也。
加賀藩の代名詞と言えば「加賀百万石」。
と言われてもイマイチぴんと来ないが、とりあえずとんでもなく広い領地を持っていたということだけはわかる。
だから、野村家に「千二百石」とアピールされても、それが個人レベルでどれぐらいすごかったのかがよくわからない。
まぁ、とにかく入ってみましょうか。
十一代に渡って加賀藩の要職を歴任したという名家だけあって建物も贅を尽くした造りとなっている。
何度か住人が入れ替わり屋敷も様変わりしたようであるが、こちらの庭園は往時の面影を留めているそう。
徳川家の圧力からついに百万石を守り抜いたと言われる前田家は、外様界最強の大名だった。
質実剛健さの中に絢爛さも垣間見える武家屋敷・野村家からはその片りんを感じ取ることができた。
武家屋敷通り
武家屋敷跡のメインストリートとも言えるのが、野村家の南から東へ続く路地。
石畳と土塀が続く鉤型の路地は、まさに江戸時代そのもの。
ここは冬に来ると、「こも掛け」と言って雪から土塀を守るために藁で作ったすだれのようなものが掛けられてる光景を見ることができる。
そう言えば、初めて金沢に来たのは12月だったから、そのときに来てれば見ることができたんだな。
九谷焼の窯元、鏑木商舗。カフェも併設しているみたい。
お店らしいお店はここぐらいで、あとはもうほぼ一般の民家。要するに、長町は観光名所だけど普通の市民生活が営まれている住宅地でもある。
住まれてるのは武家の末裔の方なんだろうか。連日、大勢の観光客が押し寄せる中で暮らすのはなんだかんだ苦労が耐えなそうな気がするな。
この路地。この風情。
もう腰に刀提げた武士が普通に歩いててもまったく違和感を感じなさそう。道を譲ったら「かたじけない」とか言われそうなレベル。
さらにこの門構え。ほんの出来心でちょっと中を覗いたりしようもんなら
「ご免!」
ザシュッ
「ぐはぁ」
みたいに訳も分からず斬られそうな雰囲気でござる。用心すべし。
やはりこういう路地は静かに、かみしめるように歩きたい。もし連休に行くなら早朝がいいと思う。写真撮る人はなおさら。
昼間は人がゴミのようでとてもじゃないけど写真どころではない。
長町武家屋敷跡。
金沢を観光する上では絶対外せない定番スポットなので、是非兼六園、金沢城とセットで訪れてほしいところ。(一応これらからであれば徒歩圏内)
近くにはハントンライスで有名なグリルオーツカもあるので、参考にされたし。
いざ、金沢へ参らん!
[訪問日:2017年5月6日]
コメント