今はなき「亀甲マーケット」がまだ存命だった頃は、レトロ好きの間ではまるでセットで回ることが不文律であるかのごとき昭和遺産が、亀甲マーケットから比較的近いところにある。
ここまで来て行かないわけにはいかないので、じりじりと気温が上がり始めたアスファルトの上を15分ほど歩いて現地に到着した。
小向マーケット
まるで町工場の倉庫かと見紛うようなバラックが現れたら、それが目当ての物件ということになる。
その名は『小向マーケット』。1953(昭和28)年に完成した、なんと現役のマーケットなのだ。
まさに王者の貫禄・・
「俺は川崎生まれSHOWA育ち、古そうなヤツは大体トモダチ!」
側面を見ると・・あまりに壮絶すぎて悶絶した。
うわぁ・・これはガチ。ホンマモンの昭和遺産だ。
満を持して中に入ってみると・・
電話番号が今と違う!!
川崎の市外局番は044のはず。昔は5桁だったってこと!?
さすがにできたのが昭和20年代だけあって、そんじょそこらのレトロ商店街とはレベルの高さがひと味もふた味も違う。
9時前という時間にも関わらず、豆腐店とお茶屋さんが準備を始めていた。
今はどうかわからないが、少し前の情報では他に洋品店と惣菜屋さんが営業中らしい。
上を向いて歩こう・・
だって、手書きの看板があまりに素敵なんだもの。
カワイイ子に見とれて電柱にぶつかるのは死ぬほど恥ずかしいけど、この看板に見とれて壁に激突したならそれはもう本望です。いやマジで。
うわwちょww
これ、ほんとす◎△$♪×¥●&%#?!
アドレナリン出すぎて頭おかしくなってきた。。
時計は5時50分を指したまま止まっていた。
いまは もう うごかない その とけい・・
ダメだ、、切なくなってきた。
裏側に出た。
こうして見ると、王者というかラスボスの感じがするな。。
バラック「わたしの戦闘力は530000です」
無理無理!!絶対勝てない!!!
さて、もと来た道を引き返そう。
この看板、両サイドに文字が書いてあるのね。
どっちから見ても楽しめる!
まじまじと考えてみる。
今いるこの空間は65年前からここにあって、これまでどれだけ多くの人たちの生活を支えてきたんだろう。
近所の人と楽しくおしゃべりしたり、子供がぐずったり、、このシャッターには65年分の喜怒哀楽が染み付いているんだな。
建物が残っていて、その佇まいが素晴らしいのはもちろんのこと。
それよりも、そこで起こった出来事や人間模様が空気と一緒にずっととどまり続けている・・その事実こそが建物の価値であり財産なんだと、、常々そんなことを思う。
古い建物を壊すということは、そこで生きた人々の思い出や記憶を破壊することに等しいと思うわけで。
だからさ
かんたんにやっていいことじゃ・・ねえんだよなあ みつを
小向マーケット。
まだまだ現役で頑張ってほしい、いや、頑張ってくれないと困る。
久しぶりにそう思えるレトロ商店街に出会えた。
絶対に、また行こうと思う。
[訪問日:2018年8月25日]
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