大宇陀を歩いたあと、さらに南へと単車を走らせる。
山ひとつ隔てた吉野のまちへと向かった。
奈良の吉野と言えば、日本三大桜の名所である吉野山の「千本桜」が抜きん出て有名であろう。
次いで吉野杉だろうか。
その吉野町の中心が上市という地域。近鉄「大和上市駅」を少し東に行ったあたりにある。
もったいぶっても仕方ないのでいきなり本命の登場。
これが見たかった。
これが見たかったがためにはるばるココまで来たのだ。
どう見てもカフエー建築。
ただ、何に使われていたのかについてはよくわからない。
いや、別にそんなのはどうだっていい。見れただけでもう十分である。
魂が抜けかかるレベルでしばらく見入ってしまった。
無理もない。これは誰が見てもそうなる。
しかし、空き家っぽいのがやはり気にかかった。(でも誰かに管理されてるような雰囲気だった)
まだまだ大丈夫そうだけど、見たい方はお早めに。
上市の町並み
さて、あれだけ見て滞在時間10分で帰るのもさすがにアホらしいので、付近の町並みを散策してきた。
結論から言うと、なんとも味わい深い町並みが残っていた。
と言うのも、実はこの道が旧街道(伊勢街道)。
伊勢神宮へといたる、いわゆる「伊勢参宮街道」と言うのは各地にあって、吉野はそのうちのひとつ「和歌山街道」が通っていた。
西へ行けば高野山もあることで、吉野は高野詣・伊勢詣の拠点として賑わうことになった。
いわゆる街道筋の商家町、宿場町として。
賑わいと言う意味ではとうに過去のものになってしまったとは言え、今でも町役場があるし吉野町の中心であることは変わらない。
そして、古い商家、町家はまだそれなりに残っている。
北側はすぐ山が迫り、南側は国道169号線、そのすぐ向こうに吉野川が流れる。
拡張の余地がまったくない、四面楚歌な町並みと言える。
もう少し歴史を遡ってみよう。
室町時代に浄土真宗派本善寺が創建され、上市はその寺内町として出発した。
この寺は吉野川の南側にある。
余談だが上市に対して「下市」もあり、こちらはもう少し下流の山側にやはり「願行寺」という寺を御坊として発展した。
当初、寺を中心に形成されたまちだったのが、洪水などで吉野川の中洲が侵食されて土地が目減りしていったのでやむなく山側に引っ越した。
そんなわけで、こんな道幅が狭く曲がった瞬間すぐ坂道が始まるような細長いまちが形成された。
町並みは最初に見たカフエー建築と北村酒造があるあたりから始まり、そこから東へ歩いて行くといい。
駅から来ると、そこまでが大体20分ぐらいかかると思われる。
古い建物はほとんどが平入りの大型な商家や町家。
道幅が狭いので、建物の存在感がひときわ目立つ。
路地裏も趣きがあっていい。
空模様も怪しかったし、大体10分ぐらい歩いたところで引き返した。
副産物とは言え、思いがけず見どころのある町並みに出会えたのは大きな収穫だった。
まだ希望的観測の域を出ないけど、来年こそ吉野山の桜を見たい。
それと、夏には大峰山に登って洞川温泉にも行きたい。(これはほぼ確)
という訳で、はい。
また来ます。吉野。
※洞川温泉は記事にまとめました
[訪問日:2018年9月17日]
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