酒豪伝説、ここに極まれり。どろめと絵金の元日本一小さな町「赤岡」を歩く

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“土佐の一本釣り”に代表されるように、県外者にとって高知県人のイメージは

「豪傑」「豪快」「豪気」「酒豪」「荒っぽい」

 

おおむねこのあたりに集約されると個人的には思っている。

高知市内からもほど近い太平洋に面したところに、そんな高知のイメージを地で行くような町がある。

 

赤岡町(現香南市赤岡町)

 

かつて日本一面積が小さかった町である。

この赤岡、昔は商都として大いに賑わった町で、今でも当時の建物が点在し古い町並みを形成している。

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商家群と水切り瓦

廻船問屋だった旧山城屋の建物

赤岡では、壁に注目してもらいたい。
小さな庇のようなものが数段に渡ってくっついているのが確認できる。

「水切り瓦」と言う、高知県南部でよく見られるものだ。

高知と言えば、室戸岬や足摺岬に代表される台風銀座。知名度とイメージはもはや全国区である。

水切り瓦は、その名の通り強い風雨から壁を守る働きがある。

また、この瓦は防火壁から富の象徴へと意味合いが転じたうだつとすなわち同義であり、高知の商人たちは経済力を誇示するためにこぞって豪華な水切り瓦を取り付けたそうだ。

全国を旅していると、町家や商家にも地方色があることがわかってきて色々勉強になるし本当に興味深い。

雪や雨など気候に適応するための工夫や、石州瓦や大谷石のようにそれ自体が特産品だったりそれこそ多種多様である。

ところで、この旧赤岡町は日本一面積の小さい町だと書いたが一体どれぐらい小さかったと言うと・・

 

面積で言うとわずか1.64平方キロメートル。
まったくイメージが沸かないと思われるが、大体バチカン市国4つ分の面積である。

ちなみに、平成の大合併前後で統廃合が進んだ結果、この手のランキングも当時は割と頻繁に変動したようで、実は赤岡町が日本一だったのは約1年間

 

短っ。

 

他に特色ありませんとばかりにめっちゃアピールしてるけど・・短っ!!

さて、本当に他に特色がないのか、ただ小さいだけの町だったのかと言うと・・答えはNOである。

測量地点(北緯33度33分)

伊能忠敬さんが来たり・・

赤レンガの商家が残ってたり・・

ちなみにこの赤レンガは旧赤岡村の初代村長
小松与右衛門の邸宅だそうな。

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絵金蔵と弁天座

そして、今や赤岡を代表する有名なものがこちらの絵金蔵
江戸時代、ここ赤岡で活躍した「金蔵」と言う浮世絵師がいた。

絵師・金蔵を名乗り、『絵金』と呼ばれたことから資料館がこういう名前となった。

そしてもうひとつが、目の前にある弁天座
雰囲気から察することができよう、こちらは芝居小屋である。

ここでは、絵金の芝居絵屏風に描かれた演目を上演する「絵金歌舞伎」を見ることができる。

こんな位置関係。右手が絵金蔵。左手が弁天座。

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どろめ祭り

実はこの赤岡。
国内でも屈指と思われる、狂気じみた奇祭があることで知られる。

毎年4月末に行われるその祭りの名は『どろめ祭り』

どろめ(イワシの稚魚)の豊漁を祈りつつ

 

男性は一升(1.8リットル)、女性は五合(0.9リットル)の日本酒を文字通り一気呑みし、その時間と飲みっぷりで雌雄を決すると言うなかなかヤバいイベントが開催されるのだ。

 

一升一気とか・・

下手したら死ぬで。。

 

どんだけ豪快なんだ土佐人は。

 

筆者はまだ出会ったことがないが、もしそんな豪傑な女性が目の前に現れたら、迷わず思いの丈をぶつけなければならないだろう。

貴女の呑みっぷりに、惚れました…、と。

 

さて、その奇祭で振る舞われる日本酒を製造するのが町内にある『高木酒造』さん。
総業130年を誇る、高知でも有名な酒蔵である。

 

写真撮ってたら女将さんが出てきて、立ち話がなぜか蔵を案内するという話になり、旦那さん(杜氏なのかな?)にマンツーマンで案内してもらうことになった。

これはこれでなかなか貴重な思い出となったので、お礼に看板商品「豊能梅」の純米吟醸を一本頂いて帰った。

 

うちの会社、納会の日に日本酒好きがめいめいに酒を持ち寄ると言う謎の風習があって、ここで豊能梅(右から3本目)を出したらかなりの好評を博することになったので、嗚呼あのとき買ってよかったな、と。

実際、本当に美味しかった。
高木酒造さん、あの節はありがとうございました。

 

取扱店も比較的全国各地にあるので、近くで探されてみては?

[訪問日:2018年11月24日]


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