廃校に新たな息吹を…話題の「むろと廃校水族館」に行ってきた

高知県
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ようやく最果てに到達した。

“四国最南端”とはいかなかったが、この旅で踏む地、その最南端の「室戸岬」に着いた。厳しい道のりだっただけに感慨もひとしおだった。

果てなく続く水平線。
海が好きな人間にとって、旅先で見るオーシャンビューほど贅沢なものはない。

四季があり、花鳥風月を愛でる。美しい風景を眺めるとき、日本に生まれてよかったとつくづく思う。

だが、変わらない景色があるのと同様に、変わりゆくもの、失われていくものがある。

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むろと廃校水族館

有名なので知っている方も多いだろう。
今回の旅が室戸方面に決まったとき、何よりもまず行きたいと思った場所がこの「むろと廃校水族館」だった。

※レトロな町並みではないので、ブログ的には「おまけ」です

今、全国的に廃校を利活用する試みが相次いでおり、観光施設や宿泊施設、美術館など多くの事例が見られる。非常によい取り組みだと思う。

2018年4月に水族館に生まれ変わった「むろと廃校水族館」は、メディアやSNSで世に広まったこともあり、開館半年で10万人の集客を達成。今、ノリにノッている。

2001年に閉校、2005年に廃校した室戸市立椎名小学校。最後の年は児童数3名という惨憺たる状況だったことが書かれていた。

25メートルプールで気持ちよさそうに泳ぐのは3名の児童・・ではない。

そこで泳ぐのは20匹ほどのウミガメやサメである。
なるほど、廃校のプールとしてはこれ以上ない活用方法だ。

おもな展示はこのプールと、校舎内の水槽、手洗い場などである。
地元漁師の定置網に引っかかった、どこにでもいるような魚をメインで展示しているため低コストで運営できるようだ。

手洗い場を利用した「タッチプール」

普通の水族館では、なかなかこうしてじかに触れるということはできない。小学校という身近なロケーションに、こうした飾らない日常感や地元感。

人が来るのもわかる気がする。

廃校当時からずっとこのままだったのだろうか。
教室は今でも普通に使われていそうな雰囲気だった。

プールに次ぐメインコンテンツは廊下の水槽。

ここだけ見ると学校とは思えないよな・・

エイがいた。

裏側は、まるで顔文字のような愛らしい表情。でもそれは目じゃなくて鼻という事実…。

 

これは・・理科室かな。

標本とか置いてあったような。

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廃校水族館は室戸の未来を救えるのか

メディアでは陽の当たるところばかりクローズアップされがちだが、室戸市の現実は厳しい。

電車は通っていない。高速道路もない。
市の誕生当時と比べ、人口は半分以下。
2018年には、運営赤字により病院が閉鎖。

ぶっちゃけ、マジで笑えない。

ぶりです 定置網から来ました

↑ワロタw

何も室戸に限った話ではなく、今、日本にはこうして未曾有の人口減に直面する自治体がゴロゴロある。

子供の医療費や教育費の無償化など、子育て層のファミリーを囲い込むようなこすっからい施策で人口の奪い合いをする自治体に筆者は苦言を呈する立場である。

そんなのはまちの魅力とは言えない。

 

まちの資源を利活用し、限られた予算とアイデアで人を呼び込める魅力的なコンテンツを生み出す。

むろと廃校水族館はまさにそのモデルケースであり、全国の自治体が見習うべき事業なのだ。

人口が減るなら、減ることを肯定した上でそれでも成り立つ社会を構築すればいいだけの話だと思う。

合併がひとつの方法論であったように、近接する自治体が広域で連携するなど、パイを奪い合うのではなくお互いに協力し合うような施策を考えていかなければこれからの時代、立ち行かなくなる気がしてならない。

色々なことを考えさせられた「むろと廃校水族館」。
室戸は遠く、そうそうチャンスはないと思っていたので今回行けてよかった。

ここへ行かれる方は、廃校が水族館に生まれ変わった意義や、その背後に隠されたストーリーに思いを馳せてみてほしいと、そんなことを思う。

[訪問日:2018年11月25日]


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