福岡の八女市には、レトロ界隈では無類の知名度を誇る最強アーケード、「土橋市場」がある。
それがなんと、あの洗練された白壁の町並み、八女福島の目と鼻の先だった。これはもう、万難を排してでも立ち寄らねばならない。
ここか・・。
オシャンティーな雰囲気をまとう白壁土蔵エリアからすぐの場所で、その一角だけが明らかに異質な空気に包まれていた。
朽ちかけた木製のアーチからただならぬ雰囲気がほとばしっている。
無造作に置かれた門松は、あやかしの異郷へいざなう道標。一歩でも足を踏み入れたら、二度と帰って来ることは出来ないのではないか。
その空想が間違いであることを祈りながら、最初の一歩を踏み出した。
ここは・・・。
眼前の景色は、どこをどう切り取っても“異界”でしかなかった。
いくら目を凝らしても、輪郭がはっきりしない。
自分は今どこにいて、何を見ているのか。すべては幻だと言われたほうがよほど信頼のおける話ではないのか。
意識は混濁し、視界が揺らぎ始めた。もうダメだ…。
そのときだった・・
にゃーお!(よく来たな)
ビクッ・・・Σ( ̄Д ̄lll)・・・・
猫・・神・・・様?
はっ・・!
自分はここで何を・・
ここは・・そうだ・・土橋・・
完全に・・・正気を取り戻した。
危うく・・まやかしの世界に迷い込むところだった。
さて、と
ふざけモードはこの辺にして、本編へ参りませう。
商店街は、途中で直角に折れる。L字型をしていた。
すごい・・。思わずため息が漏れる。これこそ後世に残さなければならない文化遺産だ。
ちなみに、冗談でも何でもなく、このアーケードは保存地区(八女福島伝統的建造物群保存地区)内にギリギリ含まれている。
ってことは、補助金で改修できたりする・・のか?笑
昼間なので如何とも判断しづらいけど、看板つきの小料理屋は現役のような気がするな。
いや、願望として、そうであってほしい。
煤け具合、錆び具合、汚れ具合・・長さは短いけど、トータルバランスの高いアーケードだった。
見ての通り、目の前が白壁の居蔵造り。この対比が実に強烈である。
こんな場所、全国探してもなかなかないぞ。
いやはや、すごいところだった・・土橋“商店街”。
と、ここに行ったことのある方であれば、すでにお気づきだろうと思う。
ここは・・『土橋市場』ではない。『土橋商店街』である。
『土橋市場』に行くつもりだったのが、この佇まいを見てここがそうだと早とちりしてしまった・・と言うのが事の顛末。
まさに痛恨の極み・・家帰ってからそれに気づいて本気で愕然とした。
なお、当の土橋市場は土橋商店街から徒歩1分、土橋八幡宮の境内にある。
さすがにもう、八女まで行く気はないので諦めたけど。
同じ悲劇が二度とくり返されないように・・最後にもう一度言います。
『土橋商店街』と『土橋市場』は別物です。
※この土橋商店街、2022年末に再訪したところ、一部が崩落しており南側の入口は立入禁止、東側は営業中の店舗もあって無事でしたがちょっと危なげな状況となっておりました。
[訪問日:2018年12月31日]
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