身延往還の宿場町。軒下の講中札に赤沢宿の歴史を見た

山梨県
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南アルプスの麓の山あいに位置する山梨県早川町には重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に選定されている「赤沢宿」がある。

赤沢は日蓮宗総本山の身延山久遠寺と霊場七面山のちょうど中間あたりに位置し、両者をつなぐ身延往還の道筋に形成されている。

ざっと位置関係を以下に示そう。

ご覧の通りかなり山深い場所にあり、身延山と七面山のちょうど中間あたりにあたる赤沢には自ずと宿場が必要とされたのであろうことが伺える。

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アクセス

ここはアクセスが大変なので先にお伝えしておこうと思う。
最寄り駅は身延線の下部温泉駅となるが、そこから車で約20分。

筆者は車で二回行ったことがあるが、いずれもカーナビの頭が悪くて川の西側からぐるっと迂回するルートを走らされた。
そちらは離合困難な悪路が続くので、川の東側を走る上記のルートが推奨となる。

ちなみに電車の方は七面山温泉の温泉街までは下部温泉駅からバスの便があるが、そこから徒歩で40分ぐらい見ておいたほうがいい。しかも登り坂。

という感じで、いずれの手段にしても結構アクセスが大変である。

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赤沢宿の歴史

参道の宿場としての歴史は中世の頃からとされる赤沢宿。
転機となったのは江戸時代初期。徳川家康の側室・お万の方が女性として初めて七面山に登拝したことで女人禁制が解かれ、富士講や身延講が盛んになるにつれて七面山への参詣客も急増。

結果として赤沢宿の利用者も増え、宿場として活況を呈することに。
明治初期には9軒もの旅籠が軒を連ね、大正から昭和にかけては身延線の開通でさらに参詣客が増えたが、その後七面山への道路が整備されたことで昭和30年頃からは訪れる人も激減。

そんな経緯で、こんな山中に往時の隆盛を偲ばせる集落が、伝統的建造物群とともに良好に残っているというわけである。

ここ赤沢宿が重伝建に選定されたのは平成5(1993)年。
種別は宿場町ではなく「山村・講中宿」。ここに赤沢の歴史のすべてが詰まっていると言っても過言ではない。

なお、山村集落は全国に多数存在するが、講中宿は2024年現在も赤沢宿ただひとつである。

で、講中宿を示す名残が軒下に掲げられているこちらの講中札
マネギ板とも呼ばれる、講の定宿を示す札である。

今では見かけることが少なくなったが、西日本では大峰講で賑わった洞川温泉で講中札を見ることができる。

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赤沢宿は標高500~600mほどの山中にあるので冬場は結構寒いし普通に雪も降る。
と言っても身延山が1148m、七面山が1982mなのであるいは身延往還の中では低いほうなのかもしれない。

石畳が敷かれた身延往還に沿って、かつて講中宿だった大型の木造建築が立ち並ぶ。
これ以上ないほど風情のある集落だが、同時にかなり独特な景観とも言える。

最盛期には一日の間に数千もの人々が行き来したとも言われており、9軒あった旅籠ではまかないきれず蔵や周囲の民家に分散して宿泊したという逸話も残っているそうな。

休憩処として開放されている「喜久屋」。この日はたまたま閉まっていた。

その先のS字のあたりが最も風情が感じられる、赤沢宿随一のフォトジェニックスポット。

かつてこの道を大勢の参詣者がぞろぞろと歩いていたと思うと、何とも感慨深いものがある。

さて、実はこの日は現地で確認したいことがひとつあった。

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大阪屋

それがこちらの大阪屋旅館。
このとき、こちらで泊まろうと電話をかけたところ「おかけになった電話番号は・・」の音声に冷たくあしらわれ、状況が一向に分からず困っていた。

結局現地に来ても安否についてはわからなかったが、とある方から休業中と伺った。
曰く、近年はインバウントが中心のゲストハウスとして営業をされていたそうで、コロナ禍で大打撃を受けたのだろうと思う。

大阪屋の土蔵

なお、ちょっと調べた感じ今現在も電話不通で休業は続いている模様。。
普通に泊まり行きたいんだけど再開する日は来るのだろうか。。

二階からの眺めが最高とのこと。

大阪屋から少し下ったあたりが集落で最も低い場所になり、ここらで500mぐらい。
一番高い所と100mも差があるので、ちょっとご近所へ行くにも一苦労。

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江戸屋旅館

大阪屋が休業中の今現在、唯一営業を続ける旅館がこちらの江戸屋。

かつては団体客を迎え入れていたほどの立派なお宿。是非一度泊まりに行ってみたい。
去年出版の撮影のために再訪したんだけど、行程の兼ね合いでその日は甲府に泊まることになってしまった。

次はいつ行けるかなぁ。。

南アルプスの山中に突如現れる、石畳に沿って家並みが続く身延往還赤沢宿。

かつて多くの参詣者を受け入れた奇跡のような町並みは、今なおひっそりと歴史を刻み続けている。

[訪問日:2021年12月29日]


 

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