鬼怒川温泉で朝を迎えた旅の最終日。あとはもう帰るだけ…というところで、1ヶ所見たいところがあったので栃木市で寄り道した。
やって来たのはうずま公園。蔵の街を散策したとき以来、およそ2年ぶりの再訪である。
巴波川(うずまがわ)の船運と日光例幣使街道の宿場町として栄えた栃木市。その名残が蔵の街として残っているが、何やらその目と鼻の先に遊郭があったという情報をキャッチしたのだ。これはもう行かないわけにはいかない。
そのとき知ってれば二度手間になることもなかったのに・・舌打ちしたい衝動に駆られながら現地へと向かう。
その場所は、巴波川を挟んで蔵の街とは反対側、「富士見町」という界隈である。
富士見町
どうやらこの橋が結界の役割を果たしていたようである。
その前に…橋のたもとに何やら石碑が立っている。
「新開橋」…それがこの橋の名のようだ。
「新開地に架けられた橋」の解釈でよろしいでしょうか。わかりやすい名前ですね。
やってるのかやってないのかまるでわからない、「やまや」なる居酒屋。この先がくだんの場所なのだそうであるが…
ここに遊里があったという情報は手元の資料を見る限り皆無で、ネット上でも先輩諸氏のサイト以外これと言ったソースはなかった。
ホント、どうやって見つけたんだろう。いつもながら感服します。
というわけで、満を持して足を踏み入れる。すでに退廃感に満ち満ちている様子が視覚を通して伝わってくる。
そこに広がるのは「黒い街」だった。
コントラストがきつすぎて白飛びと黒つぶれが同時に起きている・・なんなんここ。
建物だけ見ても、ここが遊里だったと思える特徴は皆無である。
ああぁ、それにしても酷い。
不法投棄なのか、最後の住人が残したゴミなのか・・どうしてこうなった。
朽ち果てた廃屋の何と多いことか。
念のため確認しよう。ここは限界集落となった山村ではない。栃木県栃木市の市街地だ。
一体築何年経過しているのか検討もつかない。おそらく戦前ではなかろうか。
それにしても、貸座敷っぽい建物は本当に見当たらない。
結局そっちについては謎のままだった。
しかしまぁ、何とエッジの効いた街だろうか。
これでも近隣には民家も多く、普通に住民生活が営まれている。
建物が取り壊されずにこれだけ残っているのは、土地に対するニーズがないからなのだろうか。
いや、とは言えここは栃木駅から徒歩で10分かかるかかからないかという好立地なのだ。
確かに周囲の町並みの雰囲気は、歯止めがかからない少子高齢化を体現しているかのようであった。地方都市の厳しい現実を改めて目の当たりにした時間だった。
ここが色街でもそうじゃなくても別にどっちでもいいや。そう思えるような確かな収穫があったのだから。
[2016年9月7日追記]
読者様より情報を頂きました。くだんの廃屋は近々取り壊されるとのことです。
[訪問日:2015年9月23日]
〒328-0042 栃木県栃木市沼和田町1 栃木駅
コメント
朽ち果てた廃屋、解体されるようです、解体工事に入ってました。
栃木市は人口がどんどん減っているのに、郊外にたくさん家が建ってます。
情報提供ありがとうございます。追記しておきますね。
郊外のほうが住みやすいということなのでしょうか。皮肉なものですね。
いつも楽しく読ませて頂いております。
先日、こちらの記事を参考に栃木市を訪れました。Google Mapsでもう無いのかもと思いつつ、行ってみたら案の定すっかり変わり果てておりました。
前置きが長くなってしまいましたが今回、拙ブログにて栃木市富士見町を訪れた記事を書こうとしているのですが、貴ブログに掲載されている写真と、先日私の撮った写真で富士見町の変わり様を発信したいと思っております。
つきまして、ぶしつけで申し訳ないのですが、こちらの記事の9枚目、黒い街の写真を転載させて頂けないでしょうか。勿論貴ブログへのリンクを出典元としてリンクいまします。
忙しい中申し訳ありませんが、返答のほど、宜しくお願いいたいます。
もちろんダメでしたらダメという事で。
件の転載したいサイトはこちらです。
http://sanpototabi.blog.jp
ちなみに先週、貴ブログでしった宇都宮のビジネス旅館、千歳旅館に泊まり、周辺を散策して参りました。大変参考にさせて頂きました。
うなぎ様
ご連絡ありがとうございます。そうですか、すっかり変わり果てておりましたか。
こんな写真でよければ是非ご使用ください。私も今どうなっているのか興味があります。
貴ブログ少しだけ拝見させていただきましたが、私と嗜好が似ていてとても興味深いです。これからちょくちょく遊びに行かせて頂きますね。
千歳旅館、記事にされるようでしたら楽しみにしています。
おはようございます。
さっそくですが、写真をお借りした記事を公開させて頂きました。
http://sanpototabi.blog.jp/archives/1074540361.html
ありがとうございました。
またこちらのサイトも楽しみに読ませて頂きます。今後とも宜しくお願いします。
ご連絡ありがとうございます!
記事拝見いたしました。見事なまでに面影がなくなっていて驚きました。。
いつか機会があれば、また現地に足を運んでみたいと思います。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。