中央線をくぐり、駅の北側へ。ここも諸先輩方に倣って行っておかなければ、という場所が高松町にある「シネマ通り」である。
その名の通り、映画館や演芸館があって賑わった当時の娯楽街で、基地から近かったこともあってか、戦後、界隈には進駐軍向けのいかがわしい店ができたそうである。
着いた。正面のこの通りがシネマ通りだ。
シネマ通り
「Cinema St」と書かれたアーチに情緒を感じる。方角的には、今見てるのが立川基地があったほうである。
当時、若い兵隊たちで活況を呈していたという通りは、完全に閑静な住宅街に成り下がってしまっていた。
それでも、ここが赤線ライクな場所であったという動かぬ証拠であるカフェーな建物が微かに残っているというので、それだけを楽しみにしてきた…というのに…
あろうことか忽然と姿を消していた。
『赤跡』にも載っている、ステンドグラス風の窓を持つ建物のことである。
目的を果たすにはあまりにも遅すぎたようで、探しに来た建物たちはことごとくなくなっていた。まぁ想定内だしよくある話です。
一軒だけ、遺構然とした昭和の残滓が辛うじてその姿をとどめていた。
が、延命するにはすでに手遅れで、今まさに土に還ろうとしている最中だった。
シネマ通りは、今ではもうただの住宅街でしかなく、アーチと看板だけが往時の繁栄を一人寂しく告げているだけに過ぎなかった。
と、そろそろ結論づけようかと思ってたところ、ようやく出会えたのがこれ。
ただ以前と比べると、非常に残念なことに庇のアールの部分がスパッと削られてしまっていた。隣の家を建てるときに邪魔だったんでしょう。
よりによって一番肝心な部分が。。
今でも住人の方がいて大事に使われているというのは嬉しいことですね。自転車が妙にマッチして絵になる。
何年か前までは、本当に「あーここ赤線だったんだな」的なバラックや飲み屋が散在してたみたいだけど、それらは軒並み駐車場やアパートに変わってしまっていたことが現地に行ったことでよくわかった。
名残の失われ方は都内でも屈指ではないかと。それは、楽天地、新天地を含めての話でもあるけど。
界隈に残る雰囲気のある旅館。元花街だったら納得だけど違うしなぁ。普通に昔からここにある、ってだけなのかな。
都内を全部回ることが目標だったわけでもないし、これで終わりなわけでもないけど、改めて振り返ってみると、達成感を感じつつももう何年か早く始めてれば、と思う。
けど、それは最近始めた人やこれから始める人も同じことで、時間が経てば色街の名残なんてそれこそ容赦なく薄まっていく。
今まで地道に歩いて書いてきたことが、今後、少しでも誰かの役に立てば嬉しい限りです。
[訪問日:2016年5月12日]
コメント
ここも20年弱前まで「チャンス」の看板のあった所にソープが存在したのですが・・・
駅北口を線路沿いに歩くと郵便局があり、その裏手には赤線は残っています。
でもかなり変わりました。
なんと・・シネマ通りにソープがあったんですか。
郵便局の裏手というのは初耳です。こんな駅前にも赤線があったんですね。
貴重な情報ありがとうございます。