通称、モトコー。
神戸・元町のJR高架下に、日本一長い高架下商店街と称される「元町高架下商店街」がある。
3年前に訪れたものの、何となく気乗りしなかったためずっとお蔵入りとなっていたそのモトコーが、何気に存続の危機を迎えていると聞いたのでそれならばここで書いておこう、と。
闇市がルーツの商店街
モトコーはJR元町駅~神戸駅間、約1.2km続く商店街である。
元町側から始まり、エリアごとに1~7番街に分かれている。
訪れたのが正月休みであったため、ほとんどの店が開いていないというのをまず断っておこうと思う。
まぁ、おかげで散策と撮影が捗ったわけなんだけど。
察しのいい方はこの雰囲気からすでに気づいているかもしれない。このモトコーは、戦後闇市がルーツとされており、まぁそんなわけでざっとできてから70年が経っているという次第。
続いて2番街。とてもあのお洒落な街神戸とは思えないうらぶれ感が漂っている。
じゃあ、このモトコーに何が起きたのかという話をそろそろすると、2015年12月、土地を所有するJRが耐震工事を理由に店主たちに一斉退去を求めたという。それは2018年3月にすべての借地契約を打ち切るという、非情な通告であった。
ちなみに、高架の北側と南側で借地の経緯が若干異なっており、北側についてはもう1年早く来年の3月、ということになっているそうである。
ところが、この話にはまだ続きがあり、商店街側が国土交通省に確認したところ、ここの高架下は国の耐震基準を満たしているということがわかったのでこれはもう大騒ぎである。
続いて3番街。この奇々怪々とした謎のキャラクターは、これでも3番街の公式キャラクターだとか。ゆるキャラ全盛時代を真っ向から否定するかのようなシリアスなタッチに思わず唸り声が出た。
話の続き。JR側は商店街からの指摘を受けて完全に開き直り、「耐震基準は満たしてるけどさらに強化するんだぜ。火災起きたら危ないじゃん。古くて色々カオスな感じだし」という姿勢であるらしい。どうも。
本音を言えば、店主の高齢化でシャッター街化が進むモトコーを一掃してオシャレで集客力のある商店街を作りたい、ということなのかもしれない。これは推測だけど。
確かに、あの阪神大震災を乗り越えたのだから、耐震基準については信頼と実績はある意味折り紙付きである。つまるところ、こうだ。
まだあわてるような時間じゃない。
続いて4番街。これで中間あたり、だいたい神戸高速鉄道の花隈駅付近である。まだまだ先は長い。
正直、誤算であった。
このとき、ハーバーランドや旧居留地と言ったTHE・神戸と呼べる観光地ばかりを回り、最終日に時間が余ったのでちょっと寄ってみた、というモトコーでまさかこれほどまでの昭和の面影に出会えるとは思っていなかった。
まぁよく考えてみたら神戸も歴史のある古い街だし、完全にメディアが創り上げたイメージに洗脳されてました。不覚ですね。
現在モトコーには約300の店舗があるという。それも、電気パーツやレコードなどマニア向けの個性的な店も相当数あり、これがこの商店街の価値や魅力になっている。
ナショナルのロゴが今も当たり前のように残る光景。これはもう何が何でも残さなければいけないだろう。
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