年間約3,500万人が訪れる一大観光都市、古都・奈良。
その奈良県が、実は国内で最も宿泊施設の客室数が少ない県だと言うと驚くだろうか。
泊まる場所が少ない以前に、「夜遊ぶところがない」「そもそも店が開いてない」という理由から日帰り観光地という不名誉なレッテルを貼られるその奈良を、3年ぶりに訪れた。
目的は他でもない。かつて関西有数の花街として、京都の祇園にも匹敵するほど栄えた元林院(がんりいん)をひと目見るためにやってきたのである。
その場所は、ならまちを歩いたときにも来た猿沢池の目と鼻の先だった。
元林院は明治5年に形成され、全盛期には200人を超える芸妓がいた一大花街である。お茶屋、置屋ともに約30あったという事実からはどれだけ栄えていたのかがよくわかる。
だが、結論から言うと現在はお茶屋が1軒、置屋が3軒。活動する芸妓は舞妓含めて3人という極めて厳しい現実がそこにはあった。
花街情緒満天のまちなみ
その話はまたあとで触れるとして、まずはまちなみを眺めてみたい。
はじめに出会ったのが旧料亭「明秀館」の建物。現在は料理旅館となっている。
ここは、画家、絹谷幸二氏の生家だと言う。
その先の細い路地を折れた先が、かつて花街の中心だった場所になる。
振り返ると、実に奈良らしい路地裏風景。
ところで、元林院というどこかゴツゴツした響きの名は、この地にあった興福寺の別院、「元林院」が由来となっている。
かつては「萬玉楼」という芸妓置屋だった絹谷家。主屋が江戸、明治、大正と時代の異なる3棟から構成されており、中央の建物は1742(寛保2)年の建築。ならまちの中でも最も古い町家のひとつだという。
ということが案内板に書かれております(笑)
ちなみに、現在は「まんぎょく」というダイニングバーになっている。270年前の元芸妓置屋だった建物で酒呑むとかなんて贅沢なんだろう。
食べログにも載ってるけど、料亭なんかと比べるとはるかにリーズナブルだしこれなら全然行ける。
後日行ってみましたがなかなかよかったですよ。
奈良に遊びに来る人は京都や大阪に泊まって日帰りで来るらしく、まぁその気持ちもわからんではないけど、個人的には泊まるなら奈良かな、と思う。
ならまち界隈は静かで落ち着いてて本当にいいとこです。本当の古都って感じで。
日帰りで来れる距離になったからこそ、もうちょっと濃い散策をしたいなと。奈良にはそう思える魅力がある。
もちろん京都もガッツリ回るつもりですが。
で、一番南側のこれが大正時代。二階の窓枠がずいぶん洒落ていてあぁ大正時代だよね、って感じ。赤提灯が下がってる隣は居酒屋ですかね。
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