芸妓の町、奈良市の元林院町を歩いてきた話。ここから後編。
まんぎょくの向かいも元置屋かお茶屋のような佇まい。屋号が残っていた。
見ての通り、軽でなんとか、という細さの路地。さらに右手には、車の通行は不可能と思える路地が見える。今度はそちらへ。
検番事務所
そこにあったのは検番事務所。
一応説明しておくと、検番(見番とも)とは料亭に芸妓を手配したり金回りの計算をしたりするところで、タレントと芸能事務所の関係をイメージしてもらうと分かりやすいかも。
これで石畳だったら風情もあったんだけどちょっと惜しい。
右手のスナックも、花街時代の建物であるのは一目瞭然。手すりの透かし彫りが風雅。
あれれ・・生駒新地で見かけたステッカーがあるぞ。
お隣は世界の民芸品を扱うお店。オーナーが若い頃アジアを中心にバックパッカーやってたそうで、この外観も納得。
元林院花街復興プロジェクト
お伝えした通り、元林院の花街が危機的状況であることは実際にまちなみを見てよくわかった。
そんな元林院では、2012年に“最後の芸妓”である菊乃さんという方が「花街復興プロジェクト」を発足させ、伝統を絶やさないように奮闘しているという。
人数も今は三人となり、ちびっこの舞妓もいるみたいで、今後を考えると楽しみな明るいニュースだと思う。
この菊乃さんは「つるや」というお茶屋を営んでるので、興味のある方は足を運ばれてみては。以前はブログもされていたようで、ちょいちょい普段姿も載っていましたが美人な方ですね。
奈良、元林院町。
いつか、花街の灯が再びともり、少しでもかつての賑わいを取り戻す日がやって来ることを願いたい。
それは取りも直さず、「夜が退屈な街」と笑う人々のど真ん中に小さくも確かな一石を投じることにもなるはずなのだから。
そんなことを思ったりする。
[訪問日:2016年8月12日]
〒630-8221 奈良県奈良市元林院町
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