金魚と城下町で知られる奈良県大和郡山市。
個人的には2014年夏に一度訪れたことがあり、洞泉寺遊郭(又春廊)について以下の記事を書いた。
あれから3年半。
なんと、今年の1月10日からあの「旧川本邸」が一般公開されるという衝撃のニュースを聞き、早速2月に足を運んできた。
東岡とは違い、時の流れが緩やかな洞泉寺。遺構たちにもほぼ変化が見られなかった。
ただひとつ、今から向かう旧川本邸を除いては。
町家物語館
前回来たときは固く扉を閉ざしていた旧川本邸。
「町家物語館」という木の看板が取り付けられ、軒灯にはあかりが灯されていた。
うーん。“ただの町家”じゃないんだけどなぁ…
「傾城物語館」とかどうだろう(笑)
もうすぐ市内のひな祭りイベントが開催されるということで、一足早く準備されたお雛様が迎えてくれた。
展示スペース
常駐されているガイドさんに説明を受けながら見学スタート。
洞泉寺のあらましや、一般公開に関するエピソードがパネルで紹介されている。
今いるのが娼妓が顔見世をしていた部屋(娼妓溜)で、客はここで敵娼を選んで二階に上がったんだそう。
今回の一般公開に向け、市は耐震工事に約7000万円かけたんだとか。
展示されている資料には遊客名簿も。これを見るとやっぱり新むつ旅館を思い出す。
ビールが60銭、酒が25銭。
価格設定おかしくないか…。
当時のビールは高級品だったんでしょうか。
川本楼半纏。これ商品化すれば絶対売れる気がする。
売ってたら普通に欲しい。
桃尻
順路に沿って二階へ。
こちらは客が使っていた階段で、反対側に娼妓用のもある。
階段を上がると、まず目に飛び込んでくるのが斜め格子の丸窓。
その右横にあるのが「髪結いの間」。
そして窓から外を眺めると‥
あのハートマークを内側から見ることができる。
実はこれ、ハートではなく「猪目窓(いのめまど)」と言って魔除け、火除けを意味する意匠。
もっとも、娼妓たちは「桃尻」と呼んでいたそうで遊郭らしいエピソードだな、と。
客間
客間は2階と3階を合わせて3畳が全部で14。
プラス、4畳半が2部屋で合計16あるとのこと。
これが4畳半の部屋。パンフレットには客間ではなく座敷と書いてある。
奥に見える広い部屋が客の待機場所で、二階から上がってきた客はここで女の子を待つことになる。
これが娼妓用の階段。下は展示スペースになっていた娼妓溜。
ここから上がってきて、右手奥に見える待機部屋に客を迎えに行くシステム。
敵娼に手を引かれながら部屋へと向かう遊客は、どんな気持ちでこの廊下を歩いたんだろうか。
旧川本邸は、昭和33年の廃業後は下宿(アパート)として使われていたと以前書いたけど、その名残がこの四角い板。
ここには電気メーターが取り付けられていたとのこと。
格子の話
ファサードから見える格子は各階ごとに意匠に変化を与えており、
1階:太 細 細 細 太(三本子持ち)
2階:太 細 細 太(二本子持ち)
3階:太 太 太 太
となっている。たぶんガイドさんから説明があると思うけど、是非注意して観察してみてください。
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コメント
内部を公開していたとは、、、
またレポありがとうございます。
なかなか、自由な時間がとれないもので
遠距離は探索もできませんので。
洗面所は魅力ありますね。
私もたまたま何かで知って、これは何が何でも行かなければ・・と。
ここは本当に一見の価値あり、なのでまとまった時間ができたら是非奈良へ足を運んでみてください。
私も今日行ってきました。
今日から3階も一般公開が始まったとかで、3階も満喫してきました。
もちろん素晴らしかったですよ。
残念ながら大階段は、転んでケガされた方がいらしゃったとかで、使用禁止になったそうです。上ってみたかった。
3階も一般公開ですか!情報ありがとうございます。
6月頃に再訪する予定があるので、今から楽しみです。
大階段は残念ですね。