島国・日本において、島旅は国内旅行の醍醐味のひとつであると思う。
日本には大小6800もの島があり、そのうち有人島は全体の6%にあたる約420。
初めて知ったとき、「え?そんなにあるの?」と普っ通に驚いた。
(数えてみたら行ったことある有人島は30ぐらいだった)
2017年2月。
そのうちのひとつ、徳島県南部の牟岐(むぎ)町にある出羽島(てばじま)が「漁村集落」として重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に選ばれた。
旅の道すがら、ちょっとだけ足を伸ばしてその出羽島へ行ってきた。
島への連絡船は牟岐港から1日6便が出る。
片道たったの15分。運賃220円。
この、旅というか寄り道レベルで気軽に行ける近さはどうであろう。
空は雲ひとつない晴天。気分は上々。
いざ島旅へGo。
クルマがない島
波の影響をモロに受けそうな、心もとない連絡船だった。
乗っていたのはほとんどが観光客。あと島民のための物資(食料品)が少々。
運賃は船内で係の人に払うスタイル。何ともアットホームでゆるい船旅だった。
やっぱ離島はこうでなきゃ面白くない。
出羽島の基本情報は、面積0.4平方キロメートル。周囲約3km。
島の北部に、入り江になっている港と集落がある。人口約70人。
すべてが港の周りで完結する小さな島で、クルマは1台もない。(走る場所がないし、そもそも必要性がない)
というわけで、早速集落を歩いてみよう。
建物の特徴を挙げると、この「ミセ造り」のモノが多い。
※雨戸が上下に開閉し、上は庇に、下は縁台になる。四国東南部でしか見られないそうだ
それ以外に、何か目をみはるような意匠があるかと言うと・・ないのである。
重伝建になった理由
出羽島は、言ってしまえばただの漁村である。
おそらく日本には、似たような離島は数え切れないほどあろうと思う。
国の重文、ないしは市町村が指定した文化財などは一切ない。
あるのは江戸後期~昭和初期に建てられた建物で、これらが良好な状態で残っている。実はこれが選定の大きな理由となった。
言い換えると、離島だったことが奏功して高度経済成長期に建て替えが進まなかった。これが要因になったと。
さて、この島には車がない。じゃあどうやって重たいモノを運ぼうかと言う問題が出てくる。
そのソリューションがこれ。
通称「ネコ」と呼ばれるねこ車。
※俗に言うねこ車は一輪車だけど、出羽島では四輪車。
ガラガラとネコを押しながらのんびり集落内を歩く住人。
下ミセに腰掛けてご近所さんと談笑・・
そんなスローな島の風景をここでは見ることができる。
歩いてると気づくのが、建物の色。
まったく統一感はなく、よく見ると謎にカラフルで面白い。
「上ミセ」はちゃんと固定できるようになっているようだ。
よくできてるなぁ。
ここまで、ざっくりと湾の北~東側を歩いてきたので後半では南側を見てみようと思う。
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