黒島地区の伝統的建造物で唯一一般公開されているのが「旧角海家住宅」。
国の重要文化財にもなっている建物である。
有料施設の見学はいつもその日の気分で決めるようにしているが、この日はたまたま見て行くほうの気持ちが勝った。
旧角海家を見学
入館料を支払い中へ入る。そもそも歩いている人を見かけなかったが、客は案の定筆者のみであった。
ガイドのおっちゃんから黒島地区やこの家の話を聞きながら館内を案内してもらった。
旧角海家住宅は地区を代表する廻船問屋で、現在の屋敷は明治4(1871)年の大火後に建てられたものだそうだ。
面白かったのが、この二階へ上がる梯子の話。
上へ引き上げられるようになっているが、これは階上で寝る(確か)女中が夜這いをかけられるのを防ぐためと言っていた。
いつの時代も男はアホである。
先述の能登半島地震で壊滅的な被害を受けたあとに建物は市に寄贈され、4年後の2011年7月に復原工事が完了。
中の間取りは、表通りに面して「店の間」「帳場」「中の間」「座敷」とあり、庭を取り囲むように居室を配置。
中庭をコの字形に囲むように部屋を配置する形式は地区ではよく見られるもので「ミツボカコイ」と呼ぶそうだ。
あと、海を望むための「望楼」があり、それがこの部屋。
そしてこちらが蔵。
内部は資料館然としたつくりになっている。
旧角海家はここまで。
天領北前船資料館
旧角海家とセットで安くなるというので天領北前船資料館も見学。
普段は施錠されていて、見学したい場合は旧角海家で声を掛けるシステムになっている。(そしたら中を案内してもらえる)
北前船に関する展示のほか、毎年夏に行われる黒島天領祭の曳山が保管されている。もちろん輪島塗。
資料館はこんな感じ。
二階から見下ろすとこう。見ての通り、二階ほど高さがあるので上から見るとそのサイズ感がよくわかる。
地震でなくなった建物や、外観を修繕した建物も相当数あったであろう輪島、黒島地区。
震災からの復興過程で重伝建になったという、全国でも類を見ない町並み。
爪痕はとうに擦り切れて見えなくなってしまったが、当時のことを考えながら歩いてみるとまた違った見方ができるのではないだろうか。
そんなことを思う。
※輪島黒島地区は令和6年の能登半島地震で甚大な被害を受け、現在復旧が進められています。訪問される方はご注意ください。
[訪問日:2017年11月4日]
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