徳島はつるぎ町、貞光の町並み。
ここでは全国的にも珍しい「二層うだつ」を見ることができる。
圧巻の光景、連続二層うだつ。
この道が剣山街道、紛うことなき霊山への登山道だったことを示す、古き道しるべが残る。
余談だが、筆者は今夏、長年の悲願だった阿波おどりを鑑賞するために満を持して徳島へ行く計画を立てていた。
そのついでに剣山にも登ってこようと密かに楽しみにしていたところ、台風にすべての計画をぶち壊されるという悪夢のような出来事があった。
来年こそは絶対に行ってやる…
さて、じゃあそろそろ貞光の個性的なうだつたちをじっくりと観察して行きましょうか。
IT’S SHOWTIME!!
貞光のうだつを見る
二層の上にさらに何かを象った袖壁がくっついた面白い意匠。
ちょっと小さくて分かりづらいが、「阿吽」の白虎が描かれている。
右側が「阿」、左側が「吽」。
分かりやすいものでは「鯉の滝昇り」。
鯉はもちろん立身出世(商売繁盛)、そして滝 = 水は「防火」を意味している。
上に乗っかってる「軒飾り」にも注目。
亀とか大黒さんとかここでもやはり縁起物が選ばれている。
こちらの鏝絵は亀。周りの模様は水だろう。
長寿と防火を意図している。
こんな風に屋号が書かれたものもある。
と、鏝絵だけでも十分楽しめるほど多種多様。
貞光では、建物よりうだつに注目しながら散策するときっと楽しいと思う。
とんでもないものが残っていた
うだつの町並みから逸れ、駅へ向かう道すがらにものすごい物件が残っている。
その名も「貞光劇場」
1932(昭和7)年に建てられた元芝居小屋で、のちに映画館に転じて約80年。
惜しまれながら2011年に閉館。
昭和初期の木造建築が、まさか四国の片田舎にこんなけばけばしい姿で残っているなんて誰が予想できただろうか。
しかもここ、晩年は成人映画館として営業していたと言うから二度驚くことになる。
さらに劇場の目の前には、昭和のお父さんが泣いて喜ぶ初期型日産バネットが無残な姿で打ち捨てられていた。(40年ぐらい前のクルマです)
うだつの町並みもすごかったが、「貞光劇場」ははるかそれ以上だった。
その後…
さて、そんな戦果を手に、80kmの道のりを走って旅館へと向かった。
途中からぐんぐん気温が下がり、大歩危あたりから本格的に山に入ってからが本当に地獄だった。
手足の感覚はとうに麻痺し、路面凍結こそ免れたものの、宿の近くで見た気温表示板で「只今の気温1℃」の文字を見たときはさすがに泣きそうになった。
と言うか、11月末に単車でこんな山深いところに来る選択をした自分を本気で呪いたくなった。
そんな死闘の末にたどり着いた旅館の灯り、館内の暖かさ、そして温かい料理。何もかもにありがたみを感じた。
このとき食べた祖谷の郷土料理、ひらら焼きの味は生涯忘れることはないと思う。(スマホに写真残ってたので貼っときます)
「旅の宿 奥祖谷」さん、本当にありがとうございました。
またいつか泊まり行きます。
[訪問日:2018年11月23日]
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