平家落人伝説が残る…日本三大秘境『椎葉村十根川』を訪ねて

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日本三大秘境

名前を聞くだけでワクワクするような3つの場所が我が国にはある。
岐阜県の白川郷、徳島県の祖谷地方、そして本日紹介する宮崎県の椎葉村だ。

 

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筆者の考えをここで述べるとすれば、秘境と言うのはアクセスが悪くなければ失格だと思っている。
そういう意味では、高速が開通した白川郷はすでに秘境っぽさを失っていると言っていい。

その点祖谷地方は本物の秘境だったが、この椎葉村も負けず劣らずなかなかのものだった。

別府から130km。クルマを走らせること3時間強。

目的地の「椎葉村十根川地区」は、噂通りの山深い場所にあった。
重伝建にもなっている、筆者が長い間虎視眈々と行く機会を狙っていた山村集落である。

ともに九州へ渡った2017、2018年末は絶望的なアクセスの悪さと降雪のリスクで泣く泣く行程から外したという経緯があり、遠いけど今回の別府と一緒に行っとかないともうしばらくチャンスは巡ってこないと思っていた。

そんなわけで、到着したときは感慨もひとしおだった。

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十根川重要伝統的建造物群保存地区

宮崎県北西部にある椎葉村(しいばそん)は、人が住める場所(可住地)が村全体の4%しかない、非常に急峻な山々に囲まれた村である。

重伝建になっている十根川地区は、村の中心部から北東へ約10km。
国道265号から村道へ入ると、程なくして集落が見えてくる。

標高約550mの山あいにある保存地区は、険しい斜面に石垣を築き、「椎葉型」と呼ばれる建築様式で家屋を建てているのが特徴。

椎葉型は「並列型民家」とも呼ばれ、急峻な地形ゆえに奥行きが確保できないので、建物が横長になり部屋を横一列に並べるというもの。

この母屋に馬屋と蔵をあわせた3点セットで構成された民家が、ここ十根川地区ではよく見られる形態となっている。

比較的傾斜がゆるい場所は耕作地に利用されるため、家屋はどうしても急な斜面に建てざるを得なくなり、ご覧のとおり石垣で段々状になっているのがよくわかると思う。

これじゃご近所に行くのも一苦労である。

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ここにもあった平家落人伝説

険しい斜面に築かれた石垣の上には住居や棚田。独特の景観を見せる十根川地区は、東祖谷の落合集落に実によく似ている。

だが、似ているのは景観だけではない。なんとここにも平家の落人伝説が存在するのである。

壇ノ浦の戦いで終焉を迎えた平家一族の残党が、ここ椎葉にも落ち延びて来た。
しかし頼朝さんが追っ手に選んだ那須与一の弟、大八郎が討伐隊として派遣された。


椎葉入りした大八郎は、すっかり草食系に成り果て、農耕でひっそりと暮らす落人たちに愕然とし、討伐なんてもうどうでもよくなってしまった。
それどころか、しばらくこの地にとどまり、彼らと協力関係のもと助け合って暮らすことにした。

やがて平清盛の末裔である鶴富姫と恋仲になり、娘を授かったが、大八郎は幕府の命によって帰還することになり、、

天敵である平家の姫を連れていくわけにもいかず、、大八郎の恋は椎葉の山中に散ったのであった。

 

・・哀しすぎるぜ(T_T)

椎葉型の民家

あくまで伝承の域を出ないそうだが、山々に囲まれたこれほどの秘境であればそんな話も信じたい気持ちになるから不思議だ。

ちなみに、大八郎が椎葉入りした際に椎の葉で陣屋を建てたとかで、これが地名である「椎葉」の由来になっているんだとか。

歴史ってつくづく面白い。

奥に見える古民家は、どうも自炊で宿泊も可能な施設のようだ。
囲炉裏も完備とのことで、ここで泊まれたらさぞ贅沢な時間を過ごせることだろうと思う。

十根川地区は周囲こそ1000m級の山々に囲まれているが、集落がある場所はそこまで傾斜がキツくない・・少なくとも東祖谷の落合集落よりは。

なんかずっとそんな風に思ってたんだけど、改めて写真見てみたらまぁまぁあったw
なぜ謎に美化されてたんだろう。。

十根川地区は全体で十戸程度しかない小さな集落だった。
おそらくは、共同体と言うか全体でひとつの家族みたいなものなんだろうと思う。

近所付き合いすらない都市部で暮らす筆者には、どういう暮らしがここにあるのか想像することすら難しかった。

 

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日本中を旅してきて思うこと

少なくとも学生の頃には旅好きを自覚していた筆者は、それこそ農村から離島まで、これまで本当に色々なところに足を運んだ。

そして、各地の暮らしを目の当たりにしてきた。

日本は広い。

世界から見れば小さな島国かもしれないが、旅をするとよくわかる。

日本は本当に広い。

ご存知だろうか。日本には、1,700をも超える市町村がある。
単純に47で割ってもひとつの県で36という数である。

あなたはこのうちいくつ知っているだろうか。
いくつ訪れたことがあるだろうか。

初めて行くまち。通過して、名前すら初めて聞くようなところもたくさんあった。ただ、そこには必ず

 

人が住んでいて、人の営みがあった。

 

車窓に流れていく家々を眺めながら、ここに住んでいる人たちは、これまでもこれからも自分の人生に一生関わることのない人たちで、自分とは決して交わらない時間軸の中で生きているんだな。

よくそんなことを考える。

 

日本の人口は減ってるとか言うけど、確かに離島や山間部に行くと痛烈にそれを思うときもあるけど、でも、そもそもすごい数の人がこの島では暮らしてる。

旅に出ると、基本は知らない場所、知らない人にしか出会わない。
そんな作業を長い間ひたすらくり返して来た。

 

だからこそ思った。

 

日本は広い。本当に広いと思った。

これだけあちこち行っても行ったことのない場所は山ほどあるし、行きたい場所も尽きない。

島国で、国土の4分の3が山林である日本は本当に多様性に彩られた国だと思う。
都市、山間部、海辺のまち。美しい自然や伝統文化、郷土料理、方言。地域によって気候も気質も文化もがらっと変わる。

これほど面白い国が他にあるだろうか。

すべての県に足あとを残したおかげで、色々なことを俯瞰して見れるようになった。

ふるさとと呼べる場所がないことも幸いし、どのまちもフラットに見ることができる。
それは自分の特技と呼べるものかもしれない。

 

都道府県の魅力度ランキングとか住みたい街ランキングとか、巷にはなんでも順位をつけたがる風潮があるが個人的にはこれはあまり好きではない。

住んでる人にとっては地元が一番に決まってるし、幸福度なんて主観的なものだ。
客観的な数値ではかれるわけがない。

そういう外的なランク付けがあるから比較したり迷ったりしてしまうし、上位ばかりが恩恵を受けることになったりする。

例えランキングが最下位だろうが、自分にとって居心地がよければそれで十分だしむしろそれがすべてだと思う。

 

どんな場所にも必ずその場所ならではの魅力がある。

 

些細なことでもいいから、そういう部分に目を向けてみる。
そんな旅人でありたいと、常々思っている。

 

椎葉村の十根川地区。
日本三大秘境と呼ばれる山深い集落。そこには長い歴史の中で磨かれて来た静かな暮らしがあった。

まず行くことがなかなか大変だが、是非足を運んでほしいと思えるところだった。

[訪問日:2019年11月3日]


コメント

  1. 定マニア より:

    横溝正史先生&古谷一行の金田一耕介が好きなもので、「平家の落人」と聞くと、八つ墓村!悪霊島!と反応してしまいます。70年代に上映された映画の予告は、子供の頃は凄く怖かった。あれ、ロケ地がほとんど岡山県だったそうですけど、こちらの方が本当に落人伝説があるし、集落って感じでよかったのにと思いました。失礼ながら、砂の器の野村芳太郎監督の作品とは思えないです。拘りを持って欲しかった。

    • mast-mo より:

      金田一耕助ですか~。あれは子供が見たらトラウマになると思いますよ。
      八つ墓村は津山の事件が舞台になってるので、その関係で岡山なんでしょうかね。

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