尼崎市内には北から阪急、JR、阪神の3路線が東西に走っているが、レトロ市場はほとんどが阪神沿線、少なくともJR以南に集中している。
これは昭和の時代に臨海工業地帯として発展した歴史を鑑みれば、すぐに合点が行く話である。
じゃあ阪急沿線にまったくなかったと言うとそんなことはなかったわけで、塚口にある「塚口ニューセンター」なる市場を見に行ってきた。
塚口と言えば三菱電機の企業城下町で、阪急に揺られていると車窓から巨大な工場を見ることができる。
また、かつてはグンゼの工場もあった土地柄。それゆえ昔から工場勤務者が多かったのだろう。
※現在、グンゼ跡地は「グンゼタウンセンターつかしん」というショッピングモールになっている。ここの温泉は非常に泉質が良いのでオススメである
さて、話が逸れたがこれが「塚口ニューセンター」である。
阪急塚口駅の北西、県道の五合橋線に面している。
ただし、今はもうお目にかかることはできない。
このストリートビューは、2011年2月のものである。
ちょうど10年後。2021年2月の同じ場所から撮影した写真がコチラ。
2013年時点でアーケードは撤去されていたが、市場っぽさは近年まで健在だった。
僅かに残るアーケードの骨組みが歴史のよすがを感じさせる。
諸行無常は人の世の常である。
2018年10月時点。
先ほど市場っぽさと言及したのがまさにこの右側である。
次点が2020年12月、つまり筆者が現地に赴いたふた月前。
そのときにはもうこうなっていた。
何ということだろうか…。
文字通り、スッパリ切断される形で長屋が削り取られ、コインパーキングになっていた。
これは酷い。
左側は残ったのがこの酒屋だけ。
この日は土曜日だったが、現役かどうかもすでに怪しかった。
右側は美容院と、、手前は何だろう。「ビューティーサロン イナノ」と書かれているが空きテナントであることは明らかだった。
美容院を過ぎたあたりで振り返る。
ここにアーケードがあったなんて、知らずに来たら絶対分からないよな。。
そもそも、もう商店“街”ですらなくなっている。
骨組みを残したのは費用的なものなのか人情的なものなのかは分からないが、このおかげで辛うじて来た甲斐があったと思えたのは確かである。
こっちに来てすぐぐらいに来てれば、少なくともコインパーキングは見ずに済んだのにな。
そう思うとなんだか口惜しくなってきた。
まぁ、本音を言えばこれを見たかったけど。2011年。
おしまい。
[訪問日:2021年2月6日]
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