「ジブリのモデルになった」という枕詞が付くと、本当の価値など二の次になり、時代背景や文化的価値もロクに知らない人たちが大挙して押し寄せるという非常に残念な現象が起きてしまうことが往々にしてある。
そういう魔力がジブリにはある。
青森県平川市に、『借りぐらしのアリエッティ』のモデルになった盛美園(せいびえん)がある。
9年もの歳月をかけて1910年(明治43年)に完成し、国指定名勝にもなっている庭園である。
資産家の庭園
ストーリーを覚えている方であれば、この建物を見たらピンとくるのでは。
庭園の一角に建つ和洋折衷建築で、こちらは「盛美館」という。1909年(明治42年)竣工。
盛美園は資産家であった清藤盛美(せいとうもりよし)氏が造った庭園。
自ら作庭を研究し、武学流と呼ばれる流派の庭師を招聘して造らせたそうである。
なるほど、だから「盛美園」なのか。
盛美園より盛美館を望む。
日本庭園に洋館という組み合わせはなかなか斬新だと思う。
さて、それでは盛美館に入ってみましょう。
1階が純和風、2階が洋風という意匠で、ドーム型の屋根がどことなくイスラム圏のモスクを思わせる。
中は外観とのギャップにビックリするほど完全に和風。
風呂場。浴槽が小さい。
2階は一般公開されておらず立入禁止となっている。残念。
代わりに2階寝室の写真が展示してあった。
窓枠、天井、壁は洋風で、さらに和風の畳、襖、屏風がある・・だと?この全部乗せ感がすごい。
囲炉裏が遠い明治時代を思わせる。個人的にはこの部屋から庭園が見たかった。
庭園が見えるのはこの左側の部屋。
縁側から盛美園を望む。
まるで京都にでもいるかのような光景。
悠久の時を感じながらここでぼ~っとしていたい。
商店建築みたいな雑誌が置いてあって、その傍らにはさりげなくアリエッティが。
ここでスタジオジブリの話をすると、一行は2008年の社員旅行でここに来たそうで、雰囲気を参考にしたんだとか。
確か2010年公開でしたよね。グランベリーモールの109シネマズに観に行った記憶がある。
売店にもアリエッティ。
世界遺産効果と同じで、たぶんここも2010~2011年頃は空前の来客数を記録したことと思う。
それからは右肩下がりでいつの間にか平年並みに戻っていく・・
一過性のブームってなんか切ないですよね。
ミーハーかどうかはさておき、実は筆者もこれまで色々ジブリゆかりの地を訪れた。
トトロの森、屋久島、道後温泉、聖蹟桜ヶ丘、横浜、江戸東京たてもの園、etc・・
公式に公表している場所もあればそうじゃない場所もあり、諸説あったりするんですがね。なんだかんだで旅に出るとちょこちょこ行ってしまうのがジブリの舞台。
まぁ、ジブリ抜きにしても盛美園は素晴らしい場所でした。
青森に行く機会があれば是非足を運んでみてください。
[訪問日:2015年8月15日]
コメント