レトロ愛好家の聖地とも呼べる激渋昭和遺産、四日市の三和商店街。いよいよ意を決して内部へ足を踏み入れるとしよう。
明るい商店街
訪問者への軽い挨拶代わりのつもりなのだろうか。「明るい商店街」と書かれた看板が力強い自己主張を展開している。
もはや総ツッコミは不可避の事案である。
いや違う、そうではなかった。見上げると屋根から陽光がさんさんと射し込んでいるではないか。看板に偽りはなかったのだ。
外見ですべてを判断してしまった己の愚かさが悔やまれる。
陽光どころかもれなく雨も降り注いでくる。まさに全天候型商店街。
屋根なんか要らない。男は黙って雨に打たれればよいのだ。
最初の角を折れると、身震いするほど壮絶な光景が視界に飛び込んできた。
これなら「駅前の商店街」ではなく「映画のセット」と言われたほうが100倍合点がいく。
これまで色々なレトロ商店街を見てきたが、これほど原型をとどめていない場所は間違いなくどこにもなかった。
これを建物と呼んでも差し支えないのか筆者には皆目自信がない。
ブルーシートのせいで、どう見ても解体現場にしか見えない。
だが、驚くのはまだ早い。なんと三和商店街にはまだ営業している店舗があるのだ。スナックの他、喫茶店や定食屋さんがまだ現役で頑張っている。
振り返ってみる。かたや植木、かたやカラーコーンとブルーシート。このギャップをなんと形容すればよいのだろうか。
来る前は、今は亡き「黄檗新生市場」みたいな感じだと思っていたが、それは大きな過ちだったことに気づいた。
例えるならフリーザとヤムチャぐらい差があると言っていい。
まさかこんなところでこんなものにお目にかかれるとは。
「頭上注意」と「危険」の文字を何度見ただろうか。おそらく行政的には完全に「アウト」な物件なのだろう。
まさに「生ける廃墟」である。
その壮絶すぎる様子は本町通り商店街からも見ることができる。見ちゃいけないものを見てしまったかのような罪悪感を感じること請け合いである。
まともな人ならば、ここに足を踏み入れるなんてことはたぶんしないと思う。
最後に裏手に回ってみると、とても経年劣化という言葉では説明のつかないような崩れ方をしていて呆然としてしまった。
三和商店街よ・・ここまで魅せてくれるか。商店街でこれほど魅了される日は・・きっと二度と来ないであろう。
見れなくなってしまう前に。是非ともお早目に足を運ばれることをオススメしたい。
[訪問日:2016年6月3日]
コメント
確かに、映画のセットですね。
どちらにしても、台風などで倒壊しそうですね。
そうですね。見に行くなら早いほうがいいですよ~