旅の始まりにはおあつらえ向きの行楽日和だった。
瀬戸内のうららかな海風を浴びながら、福山駅から南へ車を走らせる。空気の読めないカーラジオからはユニコーンの「雪が降る町」が流れていた。
“あと何日かで今年も終わるから”
「あぁそうか。明日は大晦日だ」
そんなことをつぶやきながら訪れたのは、瀬戸内海屈指の景勝地である小さな港町、鞆の浦(とものうら)であった。
「崖の上のポニョ」の舞台
初めて広島に来た2007年に、行き先で最後まで迷ったあげく苦渋の思いで「スタメン落ち」させた鞆の浦はその翌年、ジブリ映画『崖の上のポニョ』の公開によってドラスティックにその知名度を押し上げることになった。
そのときからずーーっと行きたいと思いながら、なんだかんだ8年も経ってしまった・・。
実は以前ジブリの舞台めぐりにはまってた時期があって、聖蹟桜ヶ丘(耳すま)を皮切りにトトロの森、屋久島&白神山地(もののけ姫)、江戸東京たてもの園、道後温泉、高知(海がきこえる)、横浜(コクリコ坂)、そして青森の盛美園と色々行ったんだけど、いつの間にか熱が冷めてしまい、今回は正直ポニョはどうでもよかったり・・
そんなわけで今回はロケ地めぐりはしてないので、それ目当ての方は他のサイトへどうぞ。(タイトルが釣りなのはわざとですw)
いつも通り、歴史なんかを交えながら町並みを紹介していけたらな、と。
奇跡の港町
鞆の浦は、万葉集にも詠まれているほど歴史が古い。
鞆の浦沖で潮の流れが変わることから、古くから「潮待ちの港」として栄えた海上交通の要衝だった。
やがて航海技術の発達とともに鞆の浦は潮待ち港としての役目を終えるが、なんと現在の町割りが江戸時代のそれとほぼ一致しているという奇跡のようなとどめ方をしているのだ。
さらにすごいのが、江戸時代の港には必ずあった「常夜燈」、「雁木」、「波止場」、「焚場」、「船番所」、その五点セットすべてが現存するのは日本で唯一ここ鞆の浦だけという。
それゆえ、「世界遺産級の町並み」と賞賛する人も少なくないらしい。至極納得。ぐうの音も出ません。
それを知ったとき思った。
ポニョの舞台なんて回ってる場合じゃねーぞこれは。
手始めに鞆の浦のランドマークでもある常夜燈に向かうと、入り組んだ石畳の細い路地がまさに手つかずのまま残っていた。のっけからミラクル感がすごい。
路地だけではない。鞆の浦最強とも言える風情を醸し出すこの場所。
左側に見えるのが江戸時代の商家屋敷「太田家住宅」、向かいに建つのが別邸の「朝宗亭(ちょうそうてい)」。
元々は酒造業を営んでいた中村家の住宅で、鞆の浦の名産「保命酒」を最初に製造販売したのがこの中村家。
普段一般公開(有料)されている太田家住宅は、ちょうど年末年始の休業期間だった。入りたかったのに残念。
常夜燈広場
太田家住宅の先が、鞆の浦観光の定番スポットになっている常夜燈広場。古い町家を改装したお洒落なカフェに挟まれる格好で、いろは丸展示館(いろは丸沈没事件の博物館)が立つ。
これが常夜燈。地元では「とうろどう」と呼ばれている。
1859(安政6)年に建造されたこのとうろどう、いまだに現役なのだからすごい。
江戸時代の雁木に座り、凪いだ鞆港を眺めながら幕末に思いを馳せる。潮待ちの船乗りたちで賑わったのも遠い昔。
ちなみに夜に来るとこんな夜景が見れます。
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コメント
凄いですね。
流石に観光客が行くところですね。
道幅がかなり狭くてバスの運行が大変と聞いたことがあります。
そうですねーここは鉄板の観光客向けスポットだと思いました。
でもまちなみは素晴らしかったです。
道幅狭いせいでよく渋滞もするみたいですよ。