鹿児島随一の繁華街、「天文館」からほど近いところにちょっと面白そうな場所を見つけたので満を持して立ち寄ってみた。
巷で『名山堀』と呼ばれている場所である。
正面に鹿児島市役所を望む広大な芝生ロード、みなと大通り。かつて鹿児島城(鶴丸城)の堀だったところだ。
通りの南側一帯が「名山町」。みなと大通りが名山堀と呼ばれていたことにちなむこの場所に、レトロな雰囲気を色濃く残す町並みが広がっている。
名山町商店街
昭和初期まで堀は運河だったそうだ。戦後は商店街ができ繁華街として賑わうも、やがて賑わいの中心が移動すると急速に活気が失われていった・・と言うのがざっくりとした名山町の沿革。
そんなわけで、戦後の面影をとどめまくっているこんなハイセンスな町並みが今もナチュラルに残っているというわけ。いやー、しかしこれはすごい。
このありあまる下町感。混沌とした魔窟のような空気感。
まさか鹿児島の市街地でこんな場所に出会えるなんて正直1ミリも予想してなかった。
昔はアーケードがあったんじゃないかと思わせる謎の棒がまるで手と手をつなぐように家々に渡されている。
その錆びた感じもいちいち趣きがあって良い。
せつこ、それドロップやない・・バラックや!
もうね、そんな冗談のひとつも飛ばしたくなってくるんですよ。楽しくて。
一応ここ、商店街ということになっているようであるが明らかに商店より民家のほうが多い。
そして、雰囲気的に少しだけ大阪の中津に似てる。
軒先に蛍光管・・昭和すぎて泣ける。。
鹿児島のソウルフード、イケダパンも今はなき漢字表記。
ふらふらと歩いてたら行き止まりのような路地に入り込んでしまった。正面には呑み屋。
この光景が呑んべ横丁と強烈にシンクロして、不意に激しいデジャブ感に襲われた。
「え?ここ立石だっけ?」
いや、やはりここは鹿児島だ。東京のプレートは円形だ。
っていうか、鹿児島って黄色なんですね。黄色って初めて見た気がするな。
行き止まりかと思ったら鍵型になっていてまだ先があった。
えぇ、ぬけられました。
あの小ぎれいでビルが立ち並ぶだたっ広いみなと大通りから、まさかすぐそばにこんなところがあるなんていくらなんでも予測不可能だろう。奥が深いぜ、鹿児島タウン。
でまぁ、ちょっと調べてみてわかったのが、この昭和レトロな雰囲気に魅かれた若者たちがリノベ系の飲食店やカフェを出店するケースが近頃とみに増えているそうな。
そのあたりのくだりは大阪の中崎町なんかとよく似てる。
まちが好きで、っていうのはもちろん一番大事なポイントだけど、空いてる古民家や長屋の有効活用、賃料が安いので参入の障壁が低い、若者が若い客を呼ぶ、結果としてまちの活性化につながる、など実は色々利点も多いんですよ。真面目な話。
こういうケースが各地でどんどん増えてくれればなーと思う。
昭和を感じられる建物や町並みが消えていくのはただただ寂しいし、こうして注目を浴びるればファンだって増えるかもしれない。
そんなことを考えさせられた鹿児島・名山堀はどこまでも素敵なまちだった。
[訪問日:2018年1月3日]
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