平安時代に最澄によって開かれた天台宗。その総本山が、世界遺産にもなっている比叡山延暦寺だ。
日本仏教界において、代表的な聖地のひとつとされる超有名な霊山である。
この比叡山の東麓に「坂本」という、古くから門前町として栄えた地区があるのでぶらぶらと歩いてきた。
電車で行くならおけいはんに乗って。石山坂本線の終点が「坂本比叡山口駅」。
文字通り比叡山の玄関口となる駅だ。
この駅から日吉大社へ向かう「日吉馬場」という筋があり、その南北にまたがるエリアが伝建地区(重要伝統的建造物群保存地区)になっている。
まずは北側から歩いてみた。
伝建地区になったのは1997年10月とかなりの古株。種別は「里坊群・門前町」。門前町は他にもあるけど、「里坊群」は日本でもここだけ。
里坊とは
「里坊(さとぼう)」とは何かと言うと、簡単に言うと高齢化した比叡山の修行僧の隠居後の住まいである。
その里坊は門や石垣、さらには生け垣で囲まれた屋敷や庭園を持ち、極めて独特な歴史的風致を形成している。
門のところに「○○院」と書かれているのが里坊。
見ての通りだが、秋は紅葉が美しい。もちろん春は桜。
さすがに厳しい修行に耐えた高僧が住む地区だけあって、どことなく空気の質が違う。歩いてると何となく厳かな気分にさせられる。
日吉大社・・全国に約3800ある日吉神社、日枝神社、山王神社の総本社がここ。
これだけでもすごいけど、坂本はこの日吉大社と延暦寺のダブル門前町として発展してきた地域。
歴史の長さ以上に、こっちのほうが重みのある話だと思う。
その日吉大社の鳥居あたりからは、遠く琵琶湖を望むことができる。
今度は日吉馬場の南側を歩いてみる。
歴代の天台座主(天台宗の最高権力者のこと)の墓がある慈眼堂(じげんどう)。
紅葉がきれいだった。
その前にあるのが、歴代天台座主の住居だった「滋賀院門跡」。
里坊の中で最も格式の高い場所。
庭園は見学可能(有料)なので、興味のある方はどうぞ。
滋賀院の前から伸びる、「御殿馬場」。
石畳のきれいな道。
石垣の上に注目!
坂を下りきると、「作り道」なる古い町家や商店が残る通りに出る。
いや・・古い商店ってレベルじゃあないぞ、これは。
これは・・江戸時代でしょうね。おそらく。
煙出しを備えているのが特徴的。
こっちもかな。
通りはこんな感じ。
享保元年創業、実に三百余年の歴史を誇る「本家 鶴㐂(鶴喜)そば」。
坂本と言えばこれ!と呼べるほどの名店だそうですが、ものすごく混んでたので断念…。
その横には日吉そば。
こちらもなかなか歴史のありそうなお店。風格がすごい。
1時間弱ぐらいで里坊があるエリアをざっと歩いてきた。
観光色はあまりないので、寺社仏閣や歴史好きでないとここは楽しめないかもしれない。
坂本から比叡山までケーブルカーが出てるので、興味のある方は比叡山に行くついでにちょっと歩いてみては。
[訪問日:2018年11月17日]
コメント
近江は街道の国。また湖上交通の湊町があったところ。風情ある街並みがあちこちにある。司馬遼太郎が最も愛し毎年訪れていた場所だ。