どんとこい台風。水切り瓦といしぐろに守られた吉良川の町並み

高知県
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三日目も朝から快晴だった。

この日は室戸からスタートし、ゴールは徳島市内。ひたすら海岸線を北上するプランを立てていた。
まずは、昨夜泊まった角屋がある吉良川(きらがわ)の町並み。ここを見ないことには何も始まらない。

吉良川は、室戸半島の西側、室戸岬から15kmほどの場所にある。
高知から徳島へ海岸線をなぞりながら伸びる旧土佐街道(土佐浜街道)沿いのまちである。

一言で言えば廻船業で栄えた商家町であり、町並みは1997年10月に「在郷町」として重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に選定されている。

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吉良川の歴史

吉良川は古くから林業が盛んな地域で、明治期には木炭の生産が始まった。大正期にはさらに良質な「備長炭」を産出したことからその積み出し港となり、これらを扱う商家や廻船問屋が軒を連ねて大いに栄えることになった。

まちなみ館

港は港でも、いわゆる北前船の寄港地として栄えたような場所とは出自が異なり、「港町」ではなく「在郷町」であることからもそれが窺える。

竹細工がかわいい

古い町並みは国道55号線(現土佐街道)の一本内側、旧街道沿いに見ることができる。
町並み自体は比較的コンパクトで、1時間もあればじっくり見ることができると思う。

御田八幡宮

生い立ちだけ聞くと、特産品の積み出し港、廻船業で栄えた在郷町、商家町と特別物珍しさはない。

ここの特徴は、何と言ってもその“建物”にある。

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独自性豊かな景観

赤岡のところでも紹介した「水切り瓦」が何と言ってもここの代名詞。
台風銀座である室戸地方には欠かせない意匠である。

これがあると雨水が直接地面に落ちるので、壁へのダメージを軽減し、漆喰の保護につながるそうだ。
まさに環境に適応した素晴らしい知恵である。

細木家住宅「格子のある家」(明治24年)

さらに漆喰にも特徴があり、「土佐漆喰」なる雨に強いモノが使われている。

石灰石 + 石炭 + 塩 = 生石灰(せいせっかい) + 水 = 消石灰(しょうせっかい)
消石灰 + ネズサ(発酵処理した藁すさ) = 土佐漆喰

と、さっぱりイメージが湧かないけどとりあえず普通の漆喰より丈夫ということを覚えておけばOKかと。

路地裏も風情があってよい。

吉良川の町並みは、そもそも栄えたのが明治以降と言うことで建物的には明治~大正に建てられたものが多い。

重伝建になってから20年も経つというのに、観光要素はほとんど見られず普通の住宅街然とした雰囲気だった。僻地と言えば僻地なので、そんなに観光客も多くないのだろう。

池田家住宅(蔵空間茶館)

宿屋は昨夜泊まった「角屋」ともう一軒あって、この池田家住宅が喫茶店と宿を営んでいる。

二階建ての主屋、渡り廊下でつながった離れ、蔵と納屋などが中庭を囲むように立っていて、このまちが繁栄した当時の職人技術を随所に見ることができる・・

とのことで、建物は明治~大正に建てられたもの。

…こっちのほうがよかったかも(笑)

細木家住宅「炭問屋の家」(明治39年)

吉良川にはなぜか「細木家住宅」が多い(少なくともあと1軒はある)。

古い町並みあるある、である。

(2ページ目へ続く)

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