2020年11月。
ちょっとした所用ができたので、二泊三日の日程で秋田を訪問することになった。
秋田以前に、東北自体がかれこれ5年ぶりだったので、出発に際し「そうか、もうそんな経つのか…」としみじみと感じ入ってしまった。
関西に来てからは今まで気軽に行けなかった西日本を精力的に回っていたこともあり、物理的に遠くなった東北にはまったくと言っていいほど足が向かなかった。
今回は日程的な余裕がないので、空路で直行便ただ一択である。
普段大体LCCなのでANAなんていつぶりだっけ・・ちょっと贅沢だな、なんて思いながら伊丹空港に着いて唖然とした。
プロペラ機…だと…!?
なんと、、ANAはマイナー路線にはジェット機ではなくプロペラ機を投入しているのだ。
そんなわけで、あろうことか生まれて始めてプロペラ機に乗ることになった。
(´-`).。oO(乗り心地悪そうだな…すっげぇ不安)
秋田空港までの1時間半は、素晴らしい秋晴れの下、絶景にも恵まれ終始安定したフライトだった。
乗り心地も思ってたより普通で、いい意味で期待を裏切られた感じだった。(何を期待してたんだよw)
土曜の第一便とは言え、普通の週末だったからかそれなりに空席が目立つぐらいの乗車率だった。
需要を考えたらそんなもんだろう。
10時頃秋田空港に着き、すぐさまレンタカーを借りた。その足で向かったのは、秋田市を越えた先、八郎潟の東に位置する「五城目(ごじょうめ)町」である。
五城目の遊郭跡
秋田はこのブログではなんせ「川反」と「土崎」しか訪問したことがなかったので、行きたい場所、行くべき場所が結構たくさんあった。
そんな中、カストリ出版さんの『秋田県の遊廓跡を歩く』の内容がずっと頭に残っていたこともあり、今回は限られた時間で遊郭跡を中心に回ることにした。
五城目にやって来たのはそんな経緯からだった。
このブログを始めた頃は、それこそ狂ったように全国の遊里(遊郭、赤線跡)ばかり歩いていた。
行きたい場所がなくなってきたことと興味の対象が集落など町並み全般に拡がったことで最近はめっきり歩かなくなってしまった。
東北に来たのがその頃以来と言うことも手伝い、その場所に立った瞬間郷愁のような感情が強烈にフラッシュバックしてきた。
嗚呼、遊郭跡だ…。
空虚な思いで路地の先を見つめていた。
詳細は是非書籍を手にとって頂ければと思う次第ではあるが、少しばかり内容からかいつまんで紹介をさせて頂こうと思う。
五城目は古くは街道筋の商人の町で、ごく自然な流れで遊郭ができた。
街の中心部からやや離れた「古川町」という地域である。
現在の地名を「鵜ノ木」と言うその場所には、今でも数軒のスナックが残り、僅かながら色街の系譜を嗅ぎ取ることができる。
この更地にもかつてスナックがあったようだ。
通りでひときわ存在感を放っているのが、今も現役で営業する「割烹・松鯉(しょうり)」。
手前の建物はバーとして営業しているため、鑑札が「カフエー」「料理店」と2枚見られる。
特に前者は、今や県内でもかなり珍しい代物のようだ。
本の中にも写真が掲載されているが、割烹のほうは遊郭の香りを濃厚に残す素晴らしい意匠がお目にかかれる。
是非一度、食事をしてみたいものである。
松鯉の建物が昭和20年代なのだそうだが、どうだろう。
そう聞くと、他の建物も大体それぐらいに思えてくる。
幅広の目抜き通りは100mぐらいで終わりを告げた。
以前よりも少しずつ更地が増えているとのことで、訪れるなら早いに越したことはないだろう。
五城目では大正時代に大火があり、それ以前の色街は東側に直交する通りにあったそうだ。
もう何もないと思うが、そのあたりも一応さらっと歩いてみた。
元旅館と思われる建物(斜向いの旅館と屋号が同じだった)
廃スナック
18禁プレート
このあと、男鹿までクルマを走らせ、なまはげ館と入道崎で“普通の観光”をした。
男鹿温泉がコロナのせいで日帰り入浴中止になっていてガックリきたがこればかりは仕方がない。
秋田市内まで戻り、夜は川反にほど近いビジネスホテルに投宿。郷土料理屋で秋田の味覚に舌鼓を打った。
始まったばかりの秋田遠征。
果たして明日はどんな一日が待っているのだろうか。
[訪問日:2020年11月14日]
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