消えたユートピア 京都『五条楽園』を歩く~追憶の彼方に~

スポンサーリンク
広告728×90

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

古都・京都。17もの世界遺産を有し、我が国の歴史が凝集された世界に誇る観光都市である。国内外から人々を惹きつけてやまぬ魅力を持ったその都市は、同時に色街においても独自の文化を形成しながら発展を遂げてきた歴史を持つ。
そして、その中にはかつて人々から『楽園』と呼ばれていた場所があった。

35

五条楽園。
弁慶と牛若丸の伝説で知られる五条大橋の南方、高瀬川沿いに広がるエリアがそれにあたる。
歴史は古く、元々は江戸時代から続く遊郭で「七条新地」と呼ばれていた場所である。

01

この日、夜行バスではるばる京都入りし、その足で京都駅からテクテク歩いて向かったので時間はまだ朝の7時。
連休初日の朝っぱらからこんないかがわしい界隈を歩きまわるとか、もう生き方そのものを考え直したほうがいいのではないかと自分ごとながら思えてくる。

02

戦後は赤線地帯に移行した五条楽園は、妓楼建築とカフェー建築が同居する濃密な空間を今なおとどめる赤線マニア垂涎スポットになっている。
ただ、何も別に赤線マニアに限った話でもなかったりするのだが、その理由は後述する。

03

知らぬが仏とはよく言ったもので今思えば冷や汗ものであるが、この八千代というお茶屋の横には怖そうなお兄さんがわんさかいる某事務所があったことをつい最近知った。
ふぅ危ない危ない。

04

和テイストな壁画が描かれた何とも京都らしい物件。旅情がかき立てられますな。

05

二階の手摺りも艶っぽくてよろしい。

06

伝統的な唐破風を持つ京町家風の戦前妓楼建築がいくつもしれっと残っているのに、しかしそれが京都だけにまったく違和感なく町並みに溶け込んでいて、俄かに現実感が奪われていく。
もしこの街が空襲に遭っていたらとうに灰燼に帰していただろうと思うと妙に感慨深い。

07

京都には「お茶屋遊び」という芸妓・舞妓さんと遊興にふける独特の遊びがあるが、祇園や宮川町など決まった場所でしか営業できない上に、「一見さんお断り」という高い敷居があることで知られている。

09

こちらはおなじみ戦後カフェー建築。
ここ七条新地も、売防法施行後に『五条楽園』と名を変えたあとはお茶屋や屋形(置屋のこと)、旅館などが並ぶいわゆる普通のお茶屋街として再出発をした。

13

しかしそれはあくまで表面上の話であり、お茶屋ですなどとぬけぬけと看板を掲げているものの実態はちょんの間であったため、当然「一見さん大歓迎」でありそこんとこが唯一他と一線を画していたわけである。

10

新入社員の歓迎会や後輩の筆おろしなどでくり出すような場所であったと何かで読んだことがあるが、それは半分は「ネタ」としての意味合いを含んでいたようで、と言うのも五条楽園は熟女専門のちょんの間で40代で若めというぐらいだったらしいのでまぁそういう場所だったんでしょう。

08

客層的にも40代、50代のおっちゃんが多く20代の若者が行くようなところではなかったとのこと。若者は素直に飛田へ行けってことですね、わかります。

11

ふらふら歩いていたら鴨川沿いに出た。真夏と言えども朝の空気はまだ暑気を帯びてはおらず、川面からそよぐ風が心地よさすら運んでくる。風流だ。

12

ここ五条楽園は、花街の形態そのままにまずお茶屋に上がり、置屋から敵娼(あいかた)が派遣されてくるシステムだったそうだ。大阪の今里や信太山と同じである。
しかし熟女専科で置屋形式とか、どう考えても地雷原に丸腰で突撃するようなものだと思う。玉砕の予感しかしない。

14

それにしても遺構が多い。カフェー建築の残存っぷりは玉の井鳩の街以上ではなかろうか。
それもそのはず、ここ五条楽園は、その名に違わずつい数年前まで本物の『楽園』だったのだから。

(2ページ目へ続く)

スポンサーリンク
広告336×280
広告336×280

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. nico より:

    はじめまして、赤線めぐりを趣味とする20代、そしてタイルファンです。笑
    一度行ったきりの五条楽園ですが、建物も残っているようで安心しました。
    特に「ザ・カフェー建築」と記載のあるお宅は、数あるカフェー建築が消えていく中、原型を保ったまま大事に住まわれているようで大好きです。

    またブログ、遊びに来させてください。

    • mast-mo より:

      nicoさん
      こんにちは。コメントありがとうございます。
      カフェー建築は全国的に見ても数が減っていますよね。大事にされているお宅を見ると愛着を感じて嬉しくなります。

      つたない文章ですが是非またいらしてください。

  2. ねこ より:

    遠方(他地方)から来られる方へ

    関西人(京都に近い場所の)は皆知ってることですが、
    京都は表向き歴史に彩られた素敵な街となってますが、
    ディープゾーンやアンダーゾーンが非常に多い街です。

    観光地気分で気軽に撮ると怒られる場所も多いので
    気をつけて下さい。

    • mast-mo より:

      地元の方の貴重なご意見ありがとうございます。
      光と闇は表裏一体と言いましょうか。
      長い歴史を有するということは、色々なことがあるということの裏返しだと思います。

      色街を歩くときは、なるべく目立たないように行動するのがコツですね。

  3. ひつじぐも より:

    花房観音の『楽園』(2014年刊)を読んで、ググったらここにたどり着きました。
    大変よく分かりました。ありがとうございます。